研究課題/領域番号 |
19K12391
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研究機関 | 宇部工業高等専門学校 |
研究代表者 |
山崎 博人 宇部工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (20300618)
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研究分担者 |
喜多 英敏 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授(特命) (10177826)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | フェノール類環状オリゴマー / ガス分離膜 / 気体透過性 / 理想分離係数 / 酢酸セルロース / ポリエーテルスルフォン |
研究実績の概要 |
フェノール類環状オリゴマー(Noria)はレゾルシノールとグルタルアルデヒドを80℃,48h反応して得た。生成物の合成確認は、1H NMRとFT-IRにて行った。Noriaは酢酸セルロース(CA)あるいはポリエーテルスルフォン(PESU)に分散させ、これをフラットシャーレ上にキャストして複合膜体 (CA/NoriaあるいはPESU/Noria)とした。なお、キャスト溶媒には、Noriaが溶解することにない超脱水アセトンおよびヘキサフルオロプロパノールをそれぞれ用いた。気体透過実験は真空タイムラグ法より、35℃,2atm条件で各ガス成分(He,H2,CO2,O2,N2,CH4)の透過係数(P)を測定した。ガス成分A、Bの理想分離係数(α)は、α=PA/PBより求めた。 気体透過実験の結果、CA/Noria複合膜体中のNoria分散量が20から50wt%へと増加にするに伴い、P値は低下した。この傾向はPESU/Noria複合膜体の場合も同様であった。また、複合膜体のα値は、膜基材のCAやPESU膜に比べ、やや劣る傾向を示した。これは膜基材とNoriaとの親和性が低く、膜厚が80μm程度と厚くなったことが原因と考えられる。この様に、フェノール類環状オリゴマーをそのまま高分子膜体中に分散させたのみでは、良好なガス透過性をもつガス分離膜が導けないことがわかった。 上記解決法として、Noriaにアルキル鎖を導入した化学修飾Noriaを用いることが考えられる。これにより膜基材との親和性の向上、あるいは自立膜形成が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ほぼ計画通り、順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
Noriaにアルキル鎖を導入した化学修飾Noriaは、イソシアン酸オクタデシル、あるいはイソシアン酸ヘキシル等と反応させ、オクタデシル化およびヘキシル化Noria等の合成を検討する。化学修飾Noriaを用いて、複合膜および自立膜を調製する。複合膜の高分子基材には、これまでの酢酸セルロースとポリエーテルスルフォンに、ポリフッ化ビニリデン、シリコーン樹脂、あるいはポリイミドなども加え、Noriaとの親和性の高い膜基材についても検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) ガス透過率測定装置を購入するため予算を計上していた。しかし、実験を進める中で、膜形状が平膜か環状か等の詳細が定まっておらず、時期尚早と判断し、本年度の購入を見送った。しかしながら、共同研究者所有の装置を利用できたため、研究計画に一切の支障はない。 (使用計画) 残予算は、ガス透過率測定装置の構成が定まり次第、購入に向け再検討する予定。
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