研究実績の概要 |
タイではTシャツなどの繊維加工・染色が中国に替わって盛んになっており、近年染色工場から排出される排水の色除去について政府は色度300(ADMI)以下の排水基準を設けたが、達成には既設の活性汚泥処理に追加してオゾン処理などの高度な排水処理施設が必要であり、早急に安価なプロセスの開発が要求されている。本研究課題ではタイの染色工場について、現状の排水処理設備のプロセスや設備容量、排水の処理水質を処理工程ごとに詳細な調査を行い、現状の問題点を把握した上、処理方式や運転方法の問題点を抽出し、研究課題にて開発するリアクターシステムの有効性を実証するものである。 工場の排水処理設備の調査では、凝集沈殿は水路型の凝集槽にて原水に対しpH調整も一部兼ねて凝集剤(チタニウムTiCl4および高分子ポリマーの2液凝集)が水路を通過する間混合され、沈殿槽にて沈殿分離されていた。処理水は,直列の第1曝気槽(容量1,056 m3, 滞留時間25.3hr)、第2曝気槽(容量1,305 m3, 滞留時間31.3hr)へ送られ、最終沈殿槽にて汚泥を沈殿した後、上澄水が処理水として河川に放流された。 水質分析の結果、染色排水のBODは最終処理水で20mg/Lと高い除去率が得られていたが、CODcrは687mg/L、SS 182mg/L、着色度4,700と、タイの排水基準をオーバーしていた。溶解性のCODcrも328mg/Lと高濃度で残存しており、ろ過処理水の着色度も2,357残存していることから、用いられている染料は好気性条件では分解しづらく、かつ凝集沈殿でも脱色が困難であることが判明した。 上記の結果をふまえ、循環型嫌気性および好気性DHSリアクターを設計、製作し、タイの工場にて使用されている染料6色について、人工的に排水を作成し、リアクターへの排水供給試験に着手した。
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