研究課題
本年度では前年度合成したリチウムイオン分離用無機・有機複合電位振動イオンシーブ膜の配向性の向上方法を模索した。特に、溶液濃度、パルス電位印加方法及び無機系ESIX材料の粒子均一性の調整で膜配向性の改良を行った。しかし、予想の結果に至らなかった。したがって、研究計画中のこの電位振動イオンシープ膜の微細構造及び電気化学特性と膜の選択透過性の関係、イオンチャネル内でのLi+イオンの移動機構、補助電場と膜電位振動の相乗効果による選択的なイオンの移動及び透過性能への促進機構の解明なども進めなかった。これからもイオンシープ配向透過膜の製作条件の模索及び分離機構の解明が必要である。また、これまでの研究の知見から、リチウムイオンと伴う非金属イオン(特にBr-とCl-イオン)同時に選択的に分離できる技術の開発も重要であるため、本年度ではほかの電気活性膜も合成し、リチウムイオンと非金属イオン同時に選択的に分離できる省エネルギーの電気活性イオン選択分離システムも構築した。特に、選択的なLiCl分離のために、自己電気エネルギーを回収できるESIXシステムを構築した。そこではLiClの取り込みの過程で発生した電気エネルギーがイオンの脱着および電極の再生のために消費されるエネルギーを補償することができる。結果として、λ-MnO2フィルム被覆電極およびBiOCl@PPy複合薄膜被覆電極を製造して、それぞれLi+とCl-イオンを分離した場合、イオン吸着によって2つの電極間の固有の電位差から電気エネルギーの発生を引き起こすことになる。この生成された電気エネルギーは、イオン脱着プロセスに利用した場合、このESIXシステムは、非常に低いエネルギー消費量を達成した。つまり、1モルのLiCl 回収のあたり、1.007 Whしかないの電力消費量に達成した。今後もこのシステムの開発を継続すると考えている。
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