本研究では、省エネルギーな「膜分離法」に着目し、バイオガスからのCO2分離・除去のような過酷な環境下でも使用可能な新規ロバスト有機-無機ハイブリッドCO2促進輸送膜の創製を目指している。 本年度は、上記課題解決を目指して研究計画通り、 (3)作製した膜の構造解析、(4)作製した膜の透過機構解析(CO2透過性の温度変化)、(5)異なる塩基性官能基含有有機化合物の合成と膜化、(6)作製した膜のCO2吸着性及びCO2分離性能の評価に取り組んだ。(3)では、膜の構造解析を行うために主にSEMにより膜表面及び断面の観察を行った。また、(4)については、室温、100℃、150℃と温度を変えてCO2透過性、分離性を評価した。(5)では、これまでと異なるモノマーを用いたin-situ重合法により、シリカとの有機-無機ハイブリッド膜の作製を試みた。また、(6)については、50%CO2-50%N2混合ガスを用いて、CO2分離性能を評価することにより、混合ガスでも高いCO2選択性を示すことを明らかにした。 研究期間全体を通じて実施した研究の成果として、異なる塩基性を有する有機化合物とシリカをin-situ重合法により有機-無機ハイブリッド化することにより、研究目的である高濃度のCO2でも使用可能なロバスト有機-無機ハイブリッドCO2促進輸送膜を作製したことが挙げられる。また、作製した膜について膜構造と気体透過機構との関連性を調査し、緻密でシリカが均一に分散した構造が高いCO2選択性を実現する上で重要なことが明らかとなった。官能基の塩基性については、ハイブリッド化の状態にもよるが適度な塩基性の程度があることが示唆された。
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