研究課題
金属アニオンの選択的な抽出、ならびに2級アミド化合物のための新たな分子設計指針を得るという長期展望を目標とするため、金属アニオンと弱い相互作用を示す2級アミド水素原子の酸性度(δ+性)に着眼した。電子吸引性のハロゲンを有する2級アミド化合物を合成することで、この水素原子の酸性度を適正にチューニングし、2級アミド水素原子の金属アニオン抽出への関与の可否、や金属アニオンに対する選択性について検討した。具体的には、2級アミド化合物であるN-(2-エチルヘキシル)アセトアミドに導入するハロゲンの種類をフッ素、塩素、および臭素に変化させることでN-(2-エチルヘキシル)トリフルオロアセトアミド、N-(2-エチルヘキシル)トリクロロアセトアミド、およびN-(2-エチルヘキシル)トリブロモアセトアミドを合成した。また、ハロゲンの数を変化することで、先のN-(2-エチルヘキシル)トリクロロアセトアミドに加え、モノクロロアセトアミドとジクロロアセトアミド誘導体を合成した。これらの試薬を用いることで、2級アミド水素原子の酸性度(δ+性)を変化させ、金属アニオンの抽出に及ぼす影響について検討した。これらの抽出試薬を塩酸と接触させて、アミド水素の1H-NMRスペクトルのピークシフトについて調べることで、アミド基のカルボニル酸素原子へのプロトネーション(もしくは互変異性)の度合いが把握できるが、抽出への関与をカルボニル酸素原子ではなく水素原子に限定するために、ピークシフトが起こらない塩酸濃度範囲で抽出挙動を観察することで、2級アミド水素原子の金属アニオン抽出への関与を確認することができた。また、ハロゲンの種類や数によって2級アミド水素原子の酸性度は変化し、抽出挙動に大きく影響することも明らかにした。
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