研究課題/領域番号 |
19K12403
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
三浦 大介 東京都立大学, システムデザイン研究科, 教授 (50281241)
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研究分担者 |
小方 聡 東京都立大学, システムデザイン研究科, 准教授 (50315751)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 強磁性体配列 / 高磁場勾配 / 磁気アルキメデス浮上 / 水平方向磁気アルキメデス効果 |
研究実績の概要 |
今年度は①磁場中での強磁性体配列の最適化により磁気力ファクターを増加させ、有価金属のみならず、各種プラスチックの浮上分離実験を実施。②連続分離システム構築の為、自由落下からの安定浮上に至る振動時間の評価。③レーストラック型超伝導電磁石の設計。④垂直方向の研究を展開して、より低磁場で物質の操作が期待できる水平方向のアルキメデス効果による有価資源の動的分離に関する基礎研究。①においては廃プラスチック混合物からプラスチックを選別・回収する為、磁場中で最適化された強磁性体配列と磁気回路を伴った電磁石の使用を検討し、電磁界シミュレーションと磁気浮上実験により、1~2テスラの低磁場で主要なプラスチックの分離分解能のある磁気浮上を達成した。②③においてはレーストラック型超伝導磁石の有価物質回収装置開発を目指し、磁場中心から上部300mm地点にある有価物質を自由落下させ、磁気アルキメデス浮上させることにより物質の動的特性と分離分解能を評価した。直径約2~3mmの各種金属球と各種プラスチック球と片を対象に磁気浮上分離実験を行い、物質の安定浮上位置と浮上に達する時間を、理論と実測値で評価した。その結果、安定浮上位置は物質の形状に依存しないことや浮上に時間が10秒を超える物質がないことが判明した。さらに④の水平方向磁気アルキメデス効果において重要な磁気力ファクターであるB・gradBはオープンな横磁場中に最適化した強磁性体配列を水平方向に設置することにより生じさせ、磁気力、重力と抗力による粒子の運動方程式に基づき、有限要素法と時間差分を用いた粒子軌道解析、及び磁気分離実験により印加磁場、有価金属物質とサイズ変化に伴う動的な挙動を評価した。その結果、物質の分離に成功し、磁場が大きくなるにつれ分離分解能が向上し、粒子はある範囲ではサイズに依存することなく、正確な分離が可能であることも示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画での2年目の実施計画として、①磁場中での強磁性体配列の最適化により大幅に磁気力ファクターを増加させ、有価金属のみならず、現在問題となっている各種プラスチックの磁気アルキメデス浮上分離実験を実施。②連続分離システム構築の為の自由落下からの鉛直方向の分離に要する振動時間の測定評価と、レーストラック超伝導電磁石の設計の実施。をあげているが、上述のようにこの2つが順調に研究が進んでいる為、あと1年で最初の計画が達成できる見通しの手ごたえが得られている。
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今後の研究の推進方策 |
研究の最終年度として、①レイストラックコイルの詳細設計と磁場分布の最適化。および②連続磁気分離システムの設計と評価。この2つを実施する。
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