種々のサブミリメーターサイズ内径に調整した片端テーパ付きガラスキャピラリーを作製し、これを用いた二重管ノズルを新たに開発した。所定濃度の水溶性高分子(アルギン酸、PVA)を調整し、これにナノコロイドを高分散したスラリーを調整した。このスラリーを内管に流通し、一方、外管にゲル化溶媒を流通して繊維状ゲルを連続的に合成できることを確認した。ゲル化時間およびゲル化溶媒の種類によってはナノコロイドの溶脱が顕著になることを把握した。作成した繊維状ゲルはキャピラリー内径程度の繊維径を有する多孔質ゲルからなること、コロイド粒子がゲル内に高分散していることを表面及び断面のSEM/EDX観察により確認した。なお、スラリーにPEGを混合した反応液を用いた検討では、繊維状ゲルの表面に繊維長と平行な複数の筋構造が確認できたが、剪断場によるゲル繊維の細線化は見られなかった。恐らく、多量のコロイド粒子の存在が高分子と相互作用したり、剪断流における溶存高分子の配向を抑制したものと考えられる。合成した繊維状ゲルを速やかに脱水し、乾燥することによって繊維が複雑に絡まった吸着材を得た。この吸着材をカラムに充填し、室温にて水蒸気(RH70%まで)吸着破過曲線、脱着曲線を取得した。比較として市販の脱湿用シリカゲル(B型)の充填カラムについて同様の水分吸脱着特性データを取得した。この結果、繊維状ゲル合成時にナノコロイド粒子を20vol溶液%程度混合した繊維において市販のシリカゲルと同程度の水分吸・脱着速度並びに容量特性を示すことがわかり、ゲル繊維の調整により、市販品と同等かこれ以上の水分吸・脱着特性に優れる吸着剤を合成できる見通しがついた。吸着モデルによる破過曲線のシミュレーションにより多段モードの吸着プロセスの存在が示唆され、破過曲線をシミュレートするモデルの検討を通じた本系の吸脱着プロセスの正確な理解が課題として残った。
|