研究実績の概要 |
バイオマスブリケットの燃焼利用における重要な課題の一つに燃焼灰の排出が挙げられる。燃焼灰は燃焼器トラブルの原因になるほか処理に手間やコストを要するなど利用普及の妨げとなっている。本研究では、(1) ブリケット製造に供する粉砕したバイオマス固体試料から、燃焼灰の原因となる金属成分を効率よく除去出来る手法を調べ、(2) 金属成分を除去したバイオマス固体試料、および同試料より作成したブリケットの燃料としての特性、および燃焼特性を調べることを目的としている。本年度は、まずシリカを多く含むもみ殻を粉砕し水酸化ナトリウム水溶液に含侵し、灰除去と有機成分流出への含侵時間、溶液温度・濃度の影響を調べ、適正な含侵条件を探った。この結果、NaOH5w/v%, 80℃の含侵では、30min以上の含侵で灰はほぼ全て除去され、含侵時間が長くなると有機成分流出量が増加した。NaOH5w/v%, 30minの含侵では、溶液温度の高い(80℃)方が低い(30℃)場合よりも灰分、有機成分ともに流出量が大きくなった。本研究の範囲では、有機成分の流出が少なく灰分がほぼ除去されるNaOH 3 w/v%(80℃、30min)が最適な溶液濃度であった。次に、熱的に厚いブリケット燃焼におけるバイオマス中のAAEMs(アルカリおよびアルカリ土類金属)による触媒効果を確認することを目的として、竹を原材料とする高密度円柱ブリケット(1300kg/m3)を製造し、水洗浄による脱灰の有無のブリケット燃焼継続時間への影響を調べた。その結果、脱灰したブリケットでは未処理のブリケットよりも有炎燃焼時間が長くなり、灰除去により触媒効果が抑制されたと考えられる。一方、チャー燃焼継続時間は未処理ブリケットの方が長くなり、AAEMsの触媒効果よりも脱灰による灰層密度の低下による周囲からの酸素拡散速度増大の効果が優勢になることが示唆された。
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