本研究では河川モデルと海洋モデルを結合し,これにより任意の海域において,集中豪雨時の淡水流入量を迅速に評価できるようにした.また,淡水流入が貧酸素化に及ぼす影響を生物化学過程と物理過程に分け,これまで不明な点の多かった集中豪雨による流動構造の変化が貧酸素化に及ぼす物理的影響を示した.これにより流量データのない二級河川のみが流入する半閉鎖性海域においても,豪雨時に海域に流入する淡水量を降雨量から推定し,豪雨による海洋構造の変化を把握することができる.また急な低塩分化による養殖貝類のストレス評価,気候変動により増加する集中豪雨が海洋の貧酸素化に及ぼす影響の予測等,社会的な課題の解決にも応用できる.
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