研究課題/領域番号 |
19K12416
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研究機関 | 福岡工業大学 |
研究代表者 |
乾 隆帝 福岡工業大学, 社会環境学部, 准教授 (20723844)
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研究分担者 |
赤松 良久 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (30448584)
栗田 喜久 九州大学, 農学研究院, 准教授 (40725058)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 環境DNA / 河川水温 / 定量メタバーコーディング / GIS / 分布予測 |
研究実績の概要 |
江の川水系において夏季水温が生物量に影響を与える可能性が示唆されたウナギ,アカザClade1,イワナ属subsp.,アブラボテ,ヤリタナゴ,サケ属sp.の6種,太田川水系において夏季水温が生物量に影響を与える可能性が示唆されたアカザClade1,イワナ属subsp.,の2種,そして両水系において優占種のオイカワ,カワムツ,およびタカハヤの3種を対象とした.江の川水系および太田川水系の各調査地点の将来水温の予測は,まず2020年の気温データを基準に,気象庁の地球温暖化予測情報第9巻に公開されている将来気候(2076~2096年)からRCP8.5シナリオに基づいた気温増加量(2076年~2096年)を算出後,各調査地点における気温増加量と水温増加量の関係式より各調査地点の水温増加量を算出した.なお,将来気温のバイアス補正にはピア二法を用いており,気温の観測データには農研機構の農研機構メッシュ農業気象データを使用した.そして,2020年夏季(8月)平均水温データと生物量の関係式を用いて,現在の8月における各地点の環境DNAの予測値と,将来の8月の平均水温(2076~2096年の平均値)時の各地点の環境DNA濃度の予測値を算出し,両者を比較することにより,各種の生物量の増減の比較をおこなった.その結果,絶滅危惧種の中では,温暖化に伴いウナギは生物量の変化が少なく,アカザClade1,アブラボテおよびヤリタナゴは増加傾向,イワナ属subsp.およびサケ属sp.は減少傾向となることが示された.優占種3種については,両河川ともに,オイカワが増加傾向,カワムツは変化が少なく,タカハヤは減少傾向となることが示された.これらの結果から,地球温暖化に伴う河川水温の変化によって,中国地方の河川魚類群集は大幅に変化する可能性が示された.
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