研究課題/領域番号 |
19K12428
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
西村 亮 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (70261683)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 太陽光発電 / 太陽電池 / 砂じん除去 / 電界カーテン / 発電電性能向上 / 乾燥地 / PID |
研究実績の概要 |
乾燥地に太陽電池モジュールを設置する事を想定し,その際問題となるモジュール受光面への砂じん堆積を軽減するために,受光面カバーガラスに進行波電界で帯電している砂を輸送して除去する電界カーテンを付加する場合の電界カーテンの動作特性および電界カーテンをもつ太陽電池モジュールの性能変化を調査した. (1)プリント基板上に三相対称交流電圧を用いる電界カーテンを形成し,その上に透明接着剤で透明ガラス板を接着し,「電界カーテンをもつ太陽電池モジュールの受光面ガラス」を模擬した.その上に鳥取砂丘・ナミブ砂漠・サハラ砂漠の砂を散在させて(i)電界カーテンの電極幅,(ii)電界カーテン印加電圧,(iii)ガラス板の厚さ(iv)基板傾斜角,(v)砂の粒径に対する除去性能を評価した.その結果,電極幅が狭く,電界カーテン印加電圧が高く,ガラス板は薄く,基板傾斜角が大きく,砂の粒径が小さいほど除去率が高くなる傾向があることを確認した.砂の除去のための電界カーテンの駆動電力は電力は電界カーテンを組み込む太陽電池モジュールの定格発電電力のほぼ1%と見積もられた. (2)日中に高温となる乾燥地において太陽電池モジュール受光面に組み込んだ電界カーテンを作動させた場合のモジュールの発電性能変化を調査した.発電出力端子を開放した太陽電池モジュールの受光面に正負数キロボルトの平行線電極を接触させ,80℃の環境でのべ730時間(約31日間)放置した後,ICE61215-2に基づくI-V特性測定およびEL画像調査を行った.太陽電池モジュールの劣化は高温と高電界がの負荷により加速され,今回の調査ではのべ約4ヶ月半の電界カーテン作動時間で通常の20年経過での劣化と同等となると予測された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初,電界カーテンが太陽電池モジュールへの発電性能に及ぼす影響の調査は令和2年度に実施する予定であったが,これを前倒しで実施できた.
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今後の研究の推進方策 |
電界カーテンの太陽電池モジュールへの実装においては,電界カーテンの電極が太陽光線を遮らないことおよび電界がセルに影響を与えないことが要求される.透明導電体もしくは究めて細い導線で電界カーテンの電極を作成し,カバーガラスと太陽電池セルの間に透明接地電極を挿入した太陽電池モジュールを試作し,発電特性およびその経時変化,電界カーテンの砂じん除去性能の評価および問題点を調査する.
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