研究課題/領域番号 |
19K12433
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研究機関 | 新潟工科大学 |
研究代表者 |
佐藤 栄一 新潟工科大学, 工学部, 教授 (00288250)
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研究分担者 |
岡山 朋子 大正大学, 人間学部, 教授 (20418734)
池田 敏彦 信州大学, 工学部, 特任教授 (60021010)
内山 知実 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 教授 (90193911)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 小水力発電 |
研究実績の概要 |
研究の最終目標は、雪氷に強い出力1kW以下の小型水車を開発し実用化することであり、身近に存在する水路や小規模河川の水力エネルギー有効利用の拡大を図ることである。そこで本研究では、開発に適した実験用水路を特定し、実証実験により雪氷まじりの水流に対しても安定して発電可能な水車発電システムを開発することを目的とする。 令和1年度は、まずこれまでの水路の積雪状況の観察および流況調査の結果を踏まえて長野県信濃町を実証実験場所に選定した。次に長野県信濃町の町長をはじめ、地域の区長、用水路組合など関係者へ研究の目的・計画を説明し、実証実験実施の了承を得た。さらに下掛け水車を設計・製作して水路に実装し、無雪期間の性能評価実験において設計仕様のとおり約30Wの発電出力が得られることを確認した。 実装した下掛け水車は、発電出力を増すために集水板を設けている。無雪期間の性能評価実験において下掛け水車周辺の流速を測定したところ、この集水板によって水路内の流れが複雑になり、測定位置によって流速が大きく異なることが分かった。水車の性能評価を行う上で流速を精度良く測定することは重要である。また、実装した下掛け水車は水路の有効落差を上げるために堰板の取り付けが可能になっており、この堰板の取り付けによって発電出力が増すことが確認された。そこで次年度は研究項目として、(1)集水板付近の流速測定法の確立及び(2)堰板の効果の要因把握を新たに加える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
令和1年度の研究項目(1)水路の積雪状況の観察・流況調査と(2)研究開発意義の啓蒙が当初の計画よりも進展した。また近年は冬期の降雪が少なく、次年度以降に有用な実証実験データが得られない場合が懸念された。そこで、令和2年度に計画していた「下掛け水車の設計・製作・実装」を前倒して実施した。下掛け水車は、実証実験場所に選定した長野県信濃町の水路に実装した。また、無雪期間の性能評価実験において設計どおりの性能を有していることが確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
実装した下掛け水車は、発電出力を増すために集水板を設けている。令和1年度に下掛け水車周辺の流速を測定したところ、この集水板によって水路内の流れが複雑になり、測定位置によって流速が大きく異なることが分かった。水車の性能評価を行う上で流速を精度良く測定することは重要である。そこで令和2年度の前半は、まず集水板付近の流速測定法を確立する。また、実装した下掛け水車は水路の有効落差を上げるために堰板の取り付けが可能になっており、この堰板の取り付けによって発電出力が増すことが確認された。そこで、設計図から集水板、堰板及び水車の羽根の位置関係を把握し、この堰板の効果の要因を明らかにする。 令和2年度の後半は、まず積雪期間の性能評価実験を行う準備として、カメラ撮影や発電機出力波形の記録、雪質の判定及び重量の測定方法について検討を行う。次に、積雪期間の性能評価実験を実施する。実験では雪塊・氷塊を模擬するために雪を固めて雪玉を作り、一定の時間間隔で水車上流から流下させた場合の水車効率と雪玉の挙動との関係を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響により、令和1年度末に予定していた実証実験場所の訪問及び研究打合せが中止となり、旅費に残額が生じた。令和2年度に実証実験場所の訪問及び研究打合せを行うための旅費として使用する。
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