研究課題/領域番号 |
19K12435
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研究機関 | 仙台高等専門学校 |
研究代表者 |
葛原 俊介 仙台高等専門学校, 総合工学科, 准教授 (60604494)
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研究分担者 |
寺門 修 函館工業高等専門学校, 物質環境工学科, 准教授 (90402487)
林 英男 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 事業化支援本部技術開発支援部先端材料開発セクター, 上席研究員 (10385536)
粕谷 亮 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (50509734)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | リチウムイオン2次電池 / リチウム回収 / 炭酸リチウム精製 / フッ素除去 |
研究実績の概要 |
本研究は、資源価値が低下したリチウムイオン二次電池(LIB)にも対応可能なリチウム回収および高純度炭酸リチウム精製のための基礎的情報の提供を目的としている。今年度は、水浸出液中のF濃度を低減させるために、廃LIB正極活物質にCa(OH)2、CaCO3などのCa材を添加して焼成試験を行うと共に、水浸出液中のLi、Ca、F濃度の測定を行った。以下に得られた結果の概要を示す。 Ca(OH)2添加によってLiの浸出率は減少傾向を示した。Fの浸出率も減少するものの、Ca(OH)2添加量との相関は認められなかった。Caの浸出率は、最大で1%程度で、Li濃度の1/200にも満たないものであり、Li回収において無視できる濃度レベルであった。一方で、CaCO3添加試料では、Ca(OH)2添加試料と同様にLiとFの浸出率は減少傾向を示した。特に、Liの浸出率の減少が大きく、Liの浸出率を維持しながらF浸出を抑制するには、Ca(OH)2添加が望ましいことが明らかとなった。 Ca(OH)2添加試料において焼成前後でのFのマテリアルバランスの検討を行った。その結果、Ca(OH)2添加量増加に伴い、水浸出されるFの割合が減少する一方で、Fの揮散量が増加する傾向を示した。CaF2によるF固定がされた場合、非水溶性Fの割合が増加する想定で実験を行ったが、それとは異なる結果が得られた。Ca材がPVDFの分解反応を促進すると共に、有機F化合物の形態で排ガスとして放出される反応が起こったためであると考えられる。 Ca材を添加することによって、水へのF浸出を抑制することはできた。しかしながら、HFガスをCa材がトラップするのではなく、PVDFの分解により系外へFが排出される影響が大きいためであると考えられ、その詳細を次年度に検討することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
想定したメカニズムと異なるものの、Ca材添加により水浸出液中のF濃度を低減させることができた。また、メカニズムを解明するという新たな課題も見つかり、次年度へ繋げることもできた。
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今後の研究の推進方策 |
廃LIBの正極活物質を実験試料として、リチウムの回収率を維持した上でF混入を抑制するための検討をさらに行う。また、再生炭酸リチウムの純度を99.5%を達成するための、プロセス構築をする。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)次年度使用額が生じたが、金額も極めて多いわけではないので、問題はない。 (使用計画)計画通り使用する予定である。
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