研究課題/領域番号 |
19K12436
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研究機関 | 埼玉県環境科学国際センター |
研究代表者 |
濱元 栄起 埼玉県環境科学国際センター, 土壌・地下水・地盤担当, 専門研究員 (40511978)
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研究分担者 |
八戸 昭一 埼玉県環境科学国際センター, 土壌・地下水・地盤担当, 担当部長 (70415397)
石山 高 埼玉県環境科学国際センター, 土壌・地下水・地盤担当, 担当部長 (80297621)
柿本 貴志 埼玉県環境科学国際センター, 土壌・地下水・地盤担当, 専門研究員 (00462747)
宮下 雄次 神奈川県温泉地学研究所, 研究課, 主任研究員 (40416079)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 地下温度 / 地中熱利用システム / リモートセンシング / 地下水 / 再生可能エネルギー / 地下水質 |
研究実績の概要 |
本研究では浅層型地中熱システムを対象として、地下温度と地下水質を考慮した広域的な適地評価手法を確立し、社会(行政機関や事業者団体等)に発信し社会実装に役立てることが目的である。本年度は、主にデータ収集及び測定を中心に行った。具体的には、①浅層温度測定、②MODISデータ収集、③ドローンによる赤外線撮影、④地質情報収集、⑤地下水質データ整理である。 ①浅層温度(地表から1mまでの複数深度)の測定を埼玉県加須市と神奈川県小田原市の2か所で新たに開始した。浅層温度測定については、地熱学会の地球環境と浅層熱収支に関する研究会(研究代表者もメンバーに一人である)とも連携し、既存測定点でモニタリングを継続しており、本課題の解析にも活用する。これにより、本年度は、10地点以上(埼玉県加須市、埼玉県戸田市、埼玉県狭山市、東京都千代田区、神奈川県小田原市、茨城県つくば市、千葉県銚子市ほか)で測定していることとなる。特に埼玉県加須市の埼玉県環境科学国際センター(代表者の所属機関)の生態園では、日当たりの良い場所と日陰の場所、草地と条件の異なる3地点で計測を行っている。②MODISデータ(地表面温度)についても研究対象地域における年間データをNASAから収集した。③ドローンを活用し局所的な赤外線温度撮影も行った。撮影場所は、先述した環境科学国際センターの生態園である。ドローンによる撮影は地表温度が最も低くなると思われる2月に実施した。2年目に夏季温度も測定する予定である。④地質情報については、埼玉県中央部における公共工事等で得られた地質柱状図情報を収集した。この柱状図情報は様々な形式(XML1.0やBORなど)であり、統一的な解析を実施するためにXML4.0形式に変換作業を実施した。⑤地下水質情報については、埼玉県事業で得られている地下水質データの整理を他の研究事業と連携し実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度、浅層温度のモニタリング(関東平野において10か所以上)、MODISの衛星データ収集、地質情報収集、地下水質情報の整理が実施できたことから順調に研究計画通り進んでいる。2年目以降にモニタリングデータ回収や再設置、解析作業を行う予定であり、スムーズに研究展開が可能である。ただし新型インフルエンザによる社会的影響のため、今後の状況によっては一部の調査や成果発表を次年度に延期する可能性もある。
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今後の研究の推進方策 |
初年度開始した浅層温度データを回収し、データの解析を開始する。ただし浅層温度データは年ごとの変動も考えられることから、各地点のデータ回収後に電池交換し再設置しモニタリングを継続する。浅層温度は60分間隔の時系列データであり各地点8760データのデータとなる。そこでこのような大量のデータを扱うコンピュータプログラムを作成し解析に用いる。具体的には、多くの科学分野で活用され時系列計算にも優れているPythonと一連のモジュール(Numpy,Pandas,Matplotlab等)を用いる。解析手順は、まず順解析による手法で浅層から地下方向への熱輸送計算を行った後に逆解析を用い土壌の熱物性等を決定する。また人工衛星によって測定されたMODISの地表面温度データについては、Google Erth Engine (GEE)を活用し、可視化及び時系列データの抽出を行う予定である。地質解析については、引き続き研究対象地域の地質柱状図を収集しデータ変換等を行う。ドローンによる局所的な地表面温度の撮影は前年度に冬季(2月)に実施していることから温暖期(春から夏)に実施する予定である。3次元地質モデルについては既存の関東平野のモデルを調査する予定である。地下水質についてはGISでの解析やトリニアダイアグラムを活用した特徴量の抽出を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2年目に解析を集中して行う関係から解析に係る費用(ソフトウエア等)を集約したため。また3年目に国内外の学会発表等の成果発表も積極的に行う予定である。
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