研究課題/領域番号 |
19K12441
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 清龍 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (50323473)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 富士山 / 日光 / 三陸 / 地域資源管理 / 協力金 / 基金 / 慣習 / 支払意思額 |
研究実績の概要 |
2020年度は,富士箱根伊豆国立公園,日光公立公園,三陸復興国立公園の3公園を対象として,地域資源の管理に対する地域の関与の歴史的経緯の把握を行い,地域資源管理への来訪者の貢献方法の検討を行った。その結果,富士山における保全協力金制度の導入経緯を把握,整理でき,制度上の課題,基金の有効な運用策について提案を行うことができた。また,奥日光地域においてはシカ,イノシシ等の獣害問題が顕在化しており,問題への対応を図るための一つの方策として基金の導入可能性について検討を行い,資源管理上の課題と対策の関係性について把握,整理した。さらに,岩手県普代村においては東日本大震災後の復興過程の中で,みちのく潮風トレイルを歩くハイカーが増加しており,黒崎園地を拠点として公園の活性化が求められていること,にもかかわらず拠点施設における空間整備が遅れ,滞在環境の整備が求められており,来訪者が地域に貢献するための仕組みが必要であることを把握できた。その他,伊勢志摩国立公園,阿蘇くじゅう国立公園においては秋季に郵送回収式アンケート調査を実施し,旅行消費額や支払意思額などを把握し,基金の設立を想定した具体的な地域資源管理の像を提案することができた。これらの結果は,保護地域制度と伝統的な資源管理の融合の検討を行うための重要な基礎情報であり,地域の意向や事情に合わせて制度や協働のための体制について検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
感染症(COVID-19)パンデミックの影響を受け,ヒアリング調査,アンケート調査,ワークショップ等の対面調査を延期したため。しかし,一部の調査は実施でき,2つの国立公園において国立公園利用者の支払意思額を把握できた。
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今後の研究の推進方策 |
感染症(COVID-19)の拡大,縮小の状況を見極めつつ当初の予定の調査を実施する。また,オンサイトの調査が難しいと判断された場合には,Webアンケート調査や文献調査等の代替方法を用いて研究を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は感染症(COVID-19)パンデミックの影響を受け,人と対面する調査を延期するなどし,旅費等の支出が抑制されたため次年度使用額が生じた。2021年度は同感染症の拡大,縮小の状況を考慮しつつ調査を実施し,当初予定の調査を実施予定である。当初予定の調査の実施が困難と判断された場合は,Webアンケート調査や文献調査,オンライン・ヒアリング調査等に振り替えて調査を実施する。
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