研究課題
今年度は、小課題1、2、3に関して、主に文献調査を実施した。また、SNSやzoomを用いて、現地の共同研究者や地域住民から関連情報を収集した。これらの情報と初年度に実施した現地でのフィールド調査で得た情報をもとに、研究論文としてまとめた。小課題1に関しては、インドネシアのクリンチ県における慣習林では、地元NGOが慣習林設定や住民による慣習林管理の支援活動を行い、地域住民の支援に尽力していることが明らかになった。小課題2に関しては、長年にわたって落葉採集の場として活用しているブータンの慣習林である落葉採集林(ゾンカ語で、ソクシン)に関連する法律を分析した。落葉採集林に関する法律は、1969年の最高法規、1969年の森林法、1995年の森林および自然保全法があり、地域住民には落葉採集林の管理権や利用権が認められていた。しかし、2007年の土地法により、政府は住民による落葉採集林の利用権を廃止し、それに代わって賃貸林制度を導入した。しかし、現在のところ、実際に賃貸林制度が実施されている事例はないことが明らかになった。小課題3に関しては、1989年年に採択された国連労働機関(ILO)による原住民及び種族民条約(第169号)および、2007年に採択された先住民族の権利に関する国連宣言を参考に、先住民や地域住民が先祖代々慣習的に管理してきた土地や森林に関する権利を確認した。
3: やや遅れている
今年度は、コロナの影響で、インドネシアとブータンにて現地調査ができなかったために、当初予定していたデータを収集することができなかった。しかし、それを補うために、zoomやSNSを利用して現地の関係者から最低限の情報を収集することはできた。また、ブータンの慣習林に関する法制度を詳細に把握することができた。それらの成果を2本の研究論文として投稿することができた。
昨年度から開始したバリの慣習林について、地域遊民による慣習林管理の実態に関して、本格的に現地調査を実施する。また、ブータンに関しても、現地を訪問し、落葉採集林の法制度実施に関する行政官の見解、地域住民の落葉採集林の管理・利用、落葉から製造した有機肥料を用いた農業からの収入状況について把握するために、現地調査を実施する。
コロナの影響で、当初予定していたインドネシアとブータンでの調査ができなかったため。
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