研究課題/領域番号 |
19K12445
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高橋 義文 九州大学, 農学研究院, 准教授 (60392578)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 濃縮液肥 / 有機性資源廃棄物 / 合意形成 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、有機性廃棄物を由来としたメタン発酵消化液の新たな需給システムを構築することである。そのために、有機肥料の散布先である農場・漁場の利用者(生産者)の理解を得る必要があり、濃縮された有機液肥(Bio-CLF)を用いて生産された農産物・水産物を消費者が購入してくれることが前提条件tとなる(生産者は消費者が敬遠するような農産物・水産物の生産方法を選択しないため)。 昨年度は消費者に焦点を当てた分析を行ったため、2022年度は農家を対象にBio-CLFの利用意向調査を行った。コロナのため生産部会を通してアンケート票を直接配布してデータ収集することはできなかったが、webアンケート調査会社のスクリーニングを利用して(職業が農業であること、経営農地面積が10a以上であることの条件を設けて)農家データを263サンプルを収集した。得られた農家データは、稲作農家、露地栽培農家、果樹栽培農家などで構成されているが、日本の構成比率とほぼ同じであったことから、データの代表性に問題ないと判断した。得られたデータをもとにロジット分析を行った結果、液肥の利用経験のある農家、SDGsの知識を持つ農家、露地栽培を行う農家ほど、Bio-CLFの利用意向が高いことが明らかとなった。また、この点について農協への補足調査を行い、計測結果を検証したところおおむね妥当な回答を得ることができた。さらに、類似の質問項目を用いた懸賞付きアンケート調査も実施しており、120弱のデータを収集している(現在分析中である)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の評価は、研究の進捗状況と研究成果の点から「おおむね良好」とした。 まず、進捗状況について説明するが、2022年度も農村部漁村部への調査は限定的であったため、部会を通じて満足のいくデータを収集することができなかった。しかしながら、異なる方法で263サンプルの生産者データを収集することができた。 また、研究成果としては、2021年度の成果が査読付和文誌に掲載済みであり、2022年度の成果も海外ジャーナルに投稿する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、コロナで中断していた生産現場への調査を行うとともに、すでに分析で得られた消費者と生産者の双方の分析結果を利用し、合意形成を図るための分析に着手する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため生産現場での聞き取り調査等の手続きが円滑に行えなかったため。
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