最終年度では、アメリカ東北部における実地調査を行い、合衆国連邦政府の提供する助成金や、州政府各部門を窓口とする助成制度を通じて、森林でのレクリエーションを地域の経済発展に結びつける仕組みが整えられていることを明らかにした。また、これらの制度的基盤を、森林レクリエーションのインフラであるトレイルやフィールドの整備に反映しているのが、現場で活躍する公的・民間フォレスターと、ランドトラストや各種のレクリエーション団体をはじめとした民間組織となっている構図を解明した。 研究期間全体としては、新型コロナウイルスへの対応のため、令和2~4年度にかけて、アメリカでの実地調査が難しくなったため、予定を変更して実地調査をアメリカ東北部に限定し、また、日本との比較検証に重点を置いた。 その結果、アメリカ東北部の各州において、①保全地役権が柔軟な土地権利関係を前提とし、かつトレイル地役権のような派生形を伴って運用されている実態が明らかとなった。また、森林でのレクリエーション利用を前提とした、②各種の保障制度が機能してきたこと、及び、③公的・民間フォレスター、ランドトラスト、各種のレクリエーション団体が、多様なニーズを効果的に結びつける調整主体としての役割を果たしてきたことを明らかにした。 日本での調査を通じては、マウンテンバイクやフォレストアドベンチャー等の森林での多様なレクリエーション利用が、森林の有効活用と地域活性化という可能性を持っている反面、アメリカ東北部との比較検証から、各利用を保障・促進する制度的基盤を持たないという課題を抱えている実態を明らかにした。
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