研究課題/領域番号 |
19K12456
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
倉阪 秀史 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 教授 (20302523)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 持続可能性 / エコロジカル経済学 / 資本基盤 / 通過資源 |
研究実績の概要 |
以下のようなる経済理論の構築に取り組んだ。人間の経済社会を支える物質的なフロー(エネルギー、水、原材料・食料)は、生産・消費にともなって物質的に変化してしまうものであり、通過資源と呼べる。一方、資本基盤(人的資本基盤、人工基本基盤、自然資本基盤、社会関係資本基盤)とは、サービスを提供するメカニズムを有し、サービスを提供してもそのメカニズムが継続する存在である。人間の経済社会の持続可能性を確保するのは、各種資本基盤の存在である。どのような資本基盤がどの程度存在しなければならないのかという点については、人間の尊厳ある健康で文化的な生活を持続させるために必要かどうかという観点で、非市場的に把握される。持続可能性の経済理論においては、新しく資本基盤や通過資源を創出する労働(生産労働)だけではなく、現存する資本基盤の機能を維持するための労働(ケア労働(手入れ労働))も重要な営みとして位置づける。 この研究成果については、2021年7月5日-8日にマンチェスター大学において開催される国際エコロジカル経済学会Building Alternative Livelihoods in times of ecological and political crisisにおいて、Care works, capital bases and the capability approachというタイトルで口頭発表することが決まっている。さらに、2021年7月に東洋経済新報社から『持続可能性の経済理論』を刊行することも決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国際学会への海外出張はできていないが、オンライン開催の国際学会での口頭発表が決まっている。また、『持続可能性の経済理論』を東洋経済新報社から刊行することが決定している。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、国際学会で発表するとともに、『持続可能性の経済理論』を英訳し、英語での刊行を目指したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
和書が7月に刊行されることとなったので、その編集作業を優先し、英訳は最終年度に行うこととしたため。
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