研究課題
基盤研究(C)
コロナウイルスの影響がなかった2019年度には台湾での現地調査とその分析を行ったが、2020年度以降は海外への渡航が不可能となったため、それまでに収集していた資料と国内で取り寄せ可能な資料の読み込みを行うこととした。その結果、台湾の民主化運動の先鞭をつけることになった台湾基督長老教会の3つの宣言を取り巻く環境、民主化運動の記念碑的事件である美麗島事件とキリスト教の関係、日本における台湾の政治犯支援活動とキリスト教の関係などを明らかにすることができた。
文化人類学
本研究の最大の貢献は台湾の民主化運動研究における重大な欠を補うことができたことにあるだろう。これは単に当時の様子が明らかになったということだけではなく、現代の台湾社会を理解する上で重要なポイントであった。加えて、近年の新しいメディアを用いた社会運動はこれまで以上に国境を越えた協力関係を構築している。この時期の台湾の状況が明らかになることで、現代における世界規模の民主化運動の理解の一助となるだろう。