研究課題/領域番号 |
19K12473
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
渡辺 暁 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 准教授 (20635338)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 移民 / 地域社会 / 地方政治 |
研究実績の概要 |
2021年度は新型コロナが収束していれば、メキシコユカタン州及び米国カリフォルニア州において現地調査を行う予定であったが、コロナ禍が続いたため実現できなかった。より具体的には、メキシコで中間選挙が行われ、私が調査を行っているユカタン州では、連邦選挙に加えて地方選挙(市長選挙と州議会選挙)が行われた。当初の研究計画では、この選挙を取材して、ロペス=オブラドール新政権下における新たな地方政治の状況などを明らかにできればと考えていたが(実際、今回の選挙結果は、これまでユカタン州にほとんど地盤がなかった(連邦レベルでの)与党モレーナが躍進するなど、興味深い選挙結果が見られたが、現地調査が行えていればどんな結果がえられたのかと思うと残念である。 2021年度はその分、これまでに収集した手持ちの資料の整理を進め、またネット上の記事を収集して状況把握に努めたほか、本研究に関連する中米からの移民についての研究を、既存の研究を分析する形で行った。移民研究については、査読なしではあるが、中米移民キャラバンの概要を分析した論文を一本刊行するとともに、本研究と関連する、早稲田大学山崎真次名誉教授を代表とする科研グループの成果本の中の一つの章として、メキシコからの移民と注米移民の両方をまとめた論考(近日刊行・現在構成中)をまとめることができた。 こうしたことから、新型コロナによって研究は予定通りには進まなかったが、本研究の趣旨と非常に密接に関連する中米移民キャラバンについての論考をまとめることができたので、その意味では一定の進展があったと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「研究実績の概要』にも書いたとおり、新型コロナウィルスによる渡航制限によって、現地調査が全く行えず、研究は予定通りには進まなかった。フィールドワークの成果を重視する本研究にとって、渡航制限は痛手であり、特にメキシコの中間選挙という、これまで継続して現地調査をしてきた場に出向くことができなかったため、研究は遅れている、と言わざるを得ない。 しかしその中でも、上述の通り、本研究の趣旨と非常に密接に関連する中米移民キャラバンについての論考をまとめるなど、一定の研究成果を発表しているほか、SNSなどを通じて現地の友人やインフォーマントの人々と交流したり、彼らの近況を知ることができているため、その意味では進展があったと言えるため、「4:遅れている」というほどの遅れは生じていない。 残りの研究期間の中で、これまで繰り越してきた科研費を有効に使わせて頂き、可能な限り現地調査をこなし、また新型コロナのメキシコそしてメキシコ系移民に対する影響なども考慮に入れて、成果をまとめていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
本研究のコアとなるのは、現地におけるフィールドワークであるため、コロナによる渡航の制限が緩和され次第、プールしてある研究費を使ってユカタンとカリフォルニアの両方でのフィールドワークを考えている。しかし、研究期間があと2年となり、それまでに成果を出すためには、何らかの別の方法を考えざるをえない、というのも事実である。 渡航制限が今後どの程度緩和されるかにもよるが、場合によっては現地に私自身が足を運ぶという形のフィールドワークではなく、現地のインフォーマントの皆さんの力を借りて遠隔での調査を行い、また公表されている量的データの分析を行うなどして、何らかの成果を出していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、2021年度に予定していた出張が中止となり、旅費を使わなかったためである。新型コロナによる渡航制限が緩和された時点で、予定通り現地に出張するための旅費として使用することを計画している。
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