研究課題/領域番号 |
19K12481
|
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
尾立 要子 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 客員研究員 (30401433)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 独立問題 / レファレンダム / フランス / ニューカレドニア |
研究実績の概要 |
ニューカレドニアでは、独立をめぐるレファレンダム、フランスとの関係をめぐる投票が長く待ち望まれていた。1980年代の紛争から国、独立派と半独立派の間での2度の協定締結をへて、ヌメア協定における国から領土への権限移譲が進められ、脱植民地化過程の最後の段階である司法、国防、外務、通貨といった権限の委譲の是非を問うという形でレファレンダムの実施が予定されていた。紛争から脱してどのような共同体像を築くのか、周辺国が注視する中、南太平洋でも類を見ない取り組みが重ねられてきた。 研究は、この暴力的な対立から脱した過程に重要性を認め、明らかにすることを目的としている。 研究実績としては、そのための第一歩として、2018年11月4日に実施されたレファレンダム(第1回目)に関する聞き取りを行ったことをあげることができる。聞き取りは、2019年9月に実施したが、投票直後における政治リーダー、ジャーナリストらの意見を聞くことは、次のステップ(ニューカレドニアでは2020年に独立をめぐる第2回目のレファレンダムが予定されている)における人々の意識の成熟状況を見る上でも欠かせない。 フランス、ニューカレドニアとも、新型コロナウィルスとの関係で、2020年4月の段階では外から人が入れない状況があり、この後の作業が見通しづらいが、3月に予定していた調査を改めて具体化し、現地の政治アクターへの聞き取りを行って、2年度の実績へと繋げたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度は、9月と3月に2回現地調査を予定していたが、順調に進んだとは言えない。 9月の調査では、ニューカレドニアとパリ、リヨンで政治アクターに対してレファレンダムに関する聞き取りを行うことができた。 3月に予定していた現地調査では、新型コロナウィルスの影響で聞き取りを始めたところで予定していた期間の滞在が領土政府の方針によって認められなくなり、作業を切り上げて帰国しなければならず、調査は翌年度に持ち越すことになった。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究としては、継続して現地調査を進める予定である。 ただし、2020年4月の現状としては、新型コロナウィルスをめぐる各国の方針によって資料調査も聞き取り調査も海外での現地調査が組みにくくなっている。 計画では、研究は関係者への聞き取りを軸に進めることを予定しているが、2020年度には新型コロナウィルスをめぐる制約(ニューカレドニアの例としては危険地域からの入国者に対して2週間以上の待機期間を課している)が無視できない。これをどう乗り越えることができるのか模索しながら、継続して現地調査を実施することになる。
|