本研究は、馬英九政権時代に急増した台湾産果物の対中輸出が台湾社会に与えた影響について考察し、2つの知見を得た。第一に、生産から輸出、販売促進活動等の実態を知る上で、生産地の地方政府の視点からの考察は極めて有益である。本研究では、屏東県の事例を通して、地方政府の対中認識の変化に基づく輸出支援政策の変化、輸出や販売促進活動を妨げる要因とその克服、県長のリーダーシップについて議論し、生産地における果物輸出への対応を部分的に明らかにした。第二に、詳細の解明は今後の課題となるが、果物輸出をめぐるリスクや課題の解決において、中央政府と地方政府による政策協調と、各政党内部の協力関係がそれぞれ観察された。
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