権威主義体制の政治指導者は、自らの政治体制が民主的であることを偽装するために、その民主的制度を設けてきたという理解が一般的であった。しかし近年の比較政治学の知見は、権威主義国家の民主的制度に体制の持続に貢献する政治的機能を見出した。本研究は、中国共産党による一党支配体制の下にある民主的制度にかんする基礎資料の収集と整理、および、その活動実態の分析をつうじて、その「統治の有効性の向上」機能の存在を明らかにした。こうした政治的機能の「発見」は、中国共産党による一党支配とのダイナミズムへの理解を深め、ステレオタイプ的な理解を改めることに貢献した。
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