研究課題/領域番号 |
19K12487
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
東 佳史 立命館大学, 政策科学部, 教授 (40361290)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 森林伐採 / アチェ州 / カンボジア / GIS / 除隊兵士 / 紛争後の社会 / 平和構築 / 環境と開発 |
研究実績の概要 |
今年度はCOVID19による海外渡航禁止で現地調査が不可能であった困難の年であった。しかしインドネシア・アチェ州ではシャクアラ大学の教員による2020年度の最新の衛星画像を作成した。4つの調査地域では同様の現象も観察されたが、ムラボ―地域の泥炭湿地にて紛争前の衛星画像では荒廃地の地域が広く見られたが、2004年の津波後の和平によって逆に緑化が進んでいる。それは(紛争中=森林保護)と(紛争後=急速な森林減少)といったタイ人は真逆の減少であった。他の地域は森林減少が進み、ある程度の年を経て植生が単年作物や永年作物に進む現象が見られた。しかし、泥炭湿地が広がり、2014年のインド太平洋大地震によって発生した大津波によって海岸に面したムラボ―県は甚大な被害を受けた。もし油やし農園が1980年代のように維持されたいれば一定の防災機能を持っていたかもしれない。しかし、泥炭湿地は1990年末期からの紛争激化によってかつて広がっていたい油やし農園は荒廃地となっていた。一方カンボジアでは、国有林や自然保護地区での農園拡大のための森林破壊が横行し、それはフンセン首相の取り巻きの中華系ビジネスグループが一手に担っていた。森林破壊のスピードは一定程度のガバナンスと民主主義が定着したアチェ州とは比較にならないスピードで進行している。又、共通の現象として発見されたのは、アチェ州ムラボ―県にある泥炭湿地火災の多発とカンボジア西部三州でのはげ山火災である。MODISというLadnsat画像より森林k際火災画像が入手できるが、今後はより詳細なMODIS画像を入手し紛争後社会の急激な森林伐採とプランテーション化、そして森林火災発生のダイナムズムを解明したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID19の感染拡大により所属大学の海外出張禁止令により現地調査が不可能となった。カンボジアでは昨年度末に現地調査を行ったが、ランドサット画像とドローン空撮画像の転送が思うように進まず、カンボジア出張時に同時にデータ移行と分析を行う。 同様に森林統計の渉猟も州レベルでは2014年までは入手したが、県と郡レベルでの統計の入手は困難を極めている。一方アチェ州ではWEBによる遠隔調査も一部、開始し一定の分析と成果発表の為のデータは入手したがやはり地域研究者が現地に入らずに調査が可能かという根源的な問題に立ち返っている。又、年度内に2度国内外で発表の予定であったが、豪州もシンガポールも中止となり学会と論文発表も未定となった。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度はまず6月23-26日の米国インドネシア学会がミシガン州立大学と共同で行うAIFIS-MSU Conference on Indonesian Studiesにてシャクアラ大学の教員2名と「Rawa Tripa, similar but slightly different deforestation from post-Tsumami 2004 in Ache.」の発表を行う。又、遠隔調査あるいは9月の現地調査にてアチェ州の4つの調査地域に入り、ドローンを用いた森林減少の2021年時点での実態を検証する。又、年度内にはアチェ州とカンボジアでのGIS画像と森林統計データ、並びに現地聞き取り調査の結果を英語論文と日本語論文にまとめる為、更に学会発表を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外出張禁止の為、旅費が大幅に未執行となった。謝金は遠隔調査によるGIS画像の処理費用である。
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