研究課題/領域番号 |
19K12495
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
白石 壮一郎 弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (80512243)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 高学歴非エリート層 / 社会移動 / プレカリティ / 都市友人ネットワーク / ソーシャルメディア / パトロン-クライエント |
研究実績の概要 |
昨年度にひきつづき、国内研究期間図書館・資料室などを利用した文献調査、およびこれまでのフィールド調査データの整理をおこなった。
植民地以来1990年代まで、従来型の若年層の農村-都市移動の典型は、次の図式によって理解できる。(a)少数の成績のよい男子が親族の助けを得ながら大学進学、のちに都市部で就職、親族とはパトロン-クライエント関係に、(b)小卒あるいは中退など学歴をもたずに都市へ出て就業し都市「スラム」人口を構成、零細自営業、富裕層からの雇用(ハウスキーパー、夜警 etc.)を得る。この図式が、民族誌的資料によってあるていど裏付けられることを確認した。
いっぽう、中高等教育大衆化後の現在は、より社会移動に意識的な若年人口の移動がみられるが、失業率の高さから都市近郊・地方都市滞留層が蓄積される。そこで現地事例調査より得たものから、(i)専門学校・大卒30歳程度の女性単身者の都市近郊居住区の生活水準、近隣関係、消費生活、および(ii)より上層にあたる中間層の生活イメージやかれらとの交友関係、結婚市場について、また(iii)農村部親族とのパトロン-クライエント関係管理などについての調査データの整理にあたった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
7月に1ヶ月のケニア現地調査を予定していたのだが、COVID-19パンデミックにより渡航滞在不可能となり中止した。
また、予定していた中等教育進学先行世代にあたる人物の自伝的手記資料の刊行は、インフォマントおよび親族のあいだでの土地裁判が進行中であり、手記資料の内容のうち係争事例とかかわる部分が証拠として利用されるおそれがあるため、インフォマントおよび親族と協議のうえ、刊行を大幅に延期することとなった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの現地調査と文献調査を踏まえ、2023年度には、ごく短期の補足的な現地調査(1週間程度)をおこない、学会・研究会での口頭発表と論文の公刊をおこなう予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
7月にケニア現地調査を外国旅費支出にて予定していたが、COVID-19パンデミックにより渡航滞在不可能となり中止した。国内研究費図書館・資料室における文献調査のための旅費に一部を充てた。残額は2023年度使用額として、短期現地調査および学会・研究会における研究成果の口頭発表のための旅費、英文校閲費などに充てる予定である。
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