最終年度である2023年度は、昨年度までにおこなったウガンダ共和国・ケニア共和国両国での大学進学経験のある女性にかんする現地調査データの整理ととりまとめをおこなった。また、補足調査として、日本の大学院修士課程に留学中のケニア出身女性にインタビュー聞き取り調査をおこなった。 まず、農村部出身大学進学者のセカンダリ・スクールまでの進学プロセスについては、父親が給与所得者である者が多いこと、しかしその効果は給与そのものだけでなく、公務員の転勤にともなう小学生時代からの都市部での在外就学経験や、父親の同僚などからの情報ネットワークによる進学先検討にあることがわかった。また、先行世代とことなり、男女(息子・娘)による親の学費支援の優先度合いはかわらず、むしろきょうだい順位や父親の複婚・単婚によって左右されることがわかった。 次に、大学生・大学院生・留学生にかんしては、農村部の家族・親族との関係において、直接・間接的になんらかの経済的な還元を期待されていることがあり、その具体的な事例について聞き取り調査のデータから検討した。また、大学進学後に多くの場合は恋人をもった経験があるものの、配偶者選びについては難航する。大卒後の正規職就業機会が小さいため、多くは非正規職に一時的に就業する。非正規職にも就業できない女性は自営の小商いに就くが、男性の自営活動はほとんどみられず女性(ガールフレンド)に依存するという構造がある。 研究期間全体をとおして、現代アフリカ諸国において増加している高学歴の若年女性らのライフコースについて、(1)セカンダリ卒業までのローカル・トラック、(2)首都圏・地方都市圏大学生活および卒業後の就職・結婚問題、をめぐる諸イシューについて、一次資料によって記述することができた。
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