研究実績の概要 |
研究期間全体を通じてcovid-19により調査が滞ったため、2020-2021年度は、都市政策の代表的研究文献、スポーツの公共政策に関する研究、そしてリュック・ボルタンスキーの「シテ」やイーフ・トゥアンの「トポフィリア」等、ホスピタリティや人文地理学の文献研究と国内調査を行った。そこでは、より多様で、より遠隔で、より豊かな個人的諸紐帯と専門的諸投資に含まれるものとしての紐帯の構築と、ヴァナキュラーやコンヴィヴィアリティを志向してゆく必要があることを確認した。具体的には、サスティナビリティ(持続可能性)において評価の高いサンガスタジアム(亀岡市)等の実地調査と各種重要文献・ドキュメントの分析により、天然記念物淡水魚・アユモドキへの悪影響と、都市公園内建設に伴う施設運営制約の是非が議論となった末、2020年に開場し、エンドユーザー含めた大勢のステークホルダーの歓喜に繋がったことを明らかにしている。さらに、関連するその他の成果は『スポーツ観戦空間論~スタジアム/アリーナ・歓びの場所の過去・現在・未来』(橋本純一著,文化科学高等研究院出版局,2022年4月発行)に著した。 また、現時点までに明らかになった研究成果と課題については、社会的アクティヴィズムや持続可能性の視点から、2022年に行われたFIFAカタールワールドカップ等の新設スタジアム事例等の国際比較検討を含めて検討した後、未来のスタジアム空間設計に向けて、ヴァナキュラー論、ジェンダー論、場所論の視点から、エンドユーザーを重視するホスピタリティ設計についてノーマティヴな提言を行なった(「スポーツ観戦空間論再考」『スポーツ社会学研究』31巻-1号,20233月発行)。 なお、2023年3月に行った英国、ドイツ、ベルギーの調査については、特に地方都市創生、再活性化の観点から2024年度中にその成果を査読付き論文として著す予定である。
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