研究課題/領域番号 |
19K12503
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
保田 隆明 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (90581546)
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研究分担者 |
小林 立明 学習院大学, 付置研究所, 准教授 (00807620)
ADHIKARY B.K. 同志社大学, ビジネス研究科, 准教授 (40512976)
内田 浩史 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (60294295)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 地方創生 / 地域活性化 / ソーシャルビジネス / 資金調達 / クラウドファンディング / 地域通貨 / ソーシャルインパクトボンド / ふるさと納税 |
研究実績の概要 |
本研究は、地方創生をささえる企業、特に社会的企業(ソーシャルビジネス)の資金調達において、近年新たに登場してきた様々な資金調達手段の有効活用法の提示と、それら資金調達手段の実態と課題をデータ分析と事例分析から明らかにすることで、地方創生のエコシステム構築に関して含意を得ることが目的である。具体的には、クラウドファンディング、地域通貨、ソーシャルインパクトボンド、ふるさと納税の各手法における最適な使用局面と地域への効果を検証する。 今年度は、地域通貨については、飛騨高山地方で展開されているさるぼぼコインについて、同通貨の運営母体である飛騨信用組合より個人情報が特定されない形での利用者データの学術使用目的でのデータ提供を受け、利用者および加盟店での利活用の実態調査を行った。それにより、利用者の利用時期に偏りがあること、また、利用者の属性では高齢者層にも浸透していることが判明し、電子地域通貨のアプリを小売店などがプロモーション活動に応用する可能性や、高齢者もメリットを認められればスマートフォンを利用したツールの活用に積極的になることが分かった。今後は、この地域通貨の地域内資金循環への貢献について引き続き研究していく。 クラウドファンディングについては、社会課題解決目的としてのシビッククラウドファンディングが欧米で実施されており、それの類似手法として日本におけるふるさと納税を活用した目的型クラウドファンディングについての比較検証を行った。日本でのデータを検証すると、地域での災害支援と起業家支援活動に用いられていることが判明したため、これによる地域活性化の可能性を示唆し、今後は具体的に数値的な効果検証を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地域活性化につながるソーシャルビジネスにおける資金調達手法について、今年度はシビッククラウドファンディングについての調査研究の論文執筆と、国内地域通貨の事例研究についての論文執筆が完了した。次年度以降は、これらが地域のソーシャルビジネスに及ぼす影響についての分析を予定通り進めていく予定である。また、次年度以降、本研究対象となっている、各資金調達手法における最適な使用局面と地域への効果を検証を行なっていくが、それぞれについての研究準備は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画通り、研究を進めていく予定である。一方、コロナ禍により、本研究で対象としているソーシャルファイナンスの果たす役割はますます大きくなりつつある状況において、特に事例研究、検証においては、コロナ関連とそれ以外について区別して見ていく必要があるかもしれない。現在着手中の研究では、データ面において、コロナ前のものであるので、特に問題はないが、2020度後半以降から着手する研究においては、その点を考慮して進めていく。なお、クラウドファンディングについては現在、地域金融機関向けのサーベイ調査を実施しており、その成果は2020年度中にはまとまる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
国内調査研究旅費が想定よりも少し少なかったこととと、地域金融機関向けのクラウドファンディングへの取り組み状況に関してのアンケート調査費用の一部が翌期にずれ込んだことが要因。未使用額については、当該アンケート費用への充当、および、その取りまとめ作業に関連して発生する経費に主に充当する予定である。
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