研究課題/領域番号 |
19K12503
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
保田 隆明 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 教授 (90581546)
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研究分担者 |
小林 立明 多摩大学, その他部局等, 研究員 (00807620)
ADHIKARY B.K. 同志社大学, ビジネス研究科, 准教授 (40512976)
内田 浩史 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (60294295)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 地域通貨 / 商店街 / デジタル / 地域活性化 |
研究実績の概要 |
最終年度は主に2021年度に実施した神戸市での地域通貨の実証実験の成果報告を行なった。実証分析内容は、神戸市灘区の水道筋商店街において、約2ヶ月間に渡りデジタル地域通貨の実証実験を行った。結果、利用者の多くは商店街で日常的に買い物をする人たちであり、最大の利用動機はプレミアム付与によるお得さであったものの、商店街が好きだから利用をした層も多く存在し、また、それらのうち一部利用者はプレミアムが付されなくともデジタル地域通貨を利用したであろうと回答した。 また、デジタル地域通貨の利用をきっかけとして、これまで利用したことのない店舗を訪問する利用者が一定数存在したこと、そして、利用者が感じる商店街の魅力度増加が観察されたことから、商店街の活性化にも寄与しうるものである。 今後のデジタル地域通貨に必要な機能としては、利用者も店舗側も半数程度がプレミアム地域振興券との統合を望んでおり、デジタルベースでの一体化が必要であることが示唆された。一方、行政のアプリやポイントとの統合を望む声はあまり多くなく、自治体主導によるデジタル地域通貨の導入は、供給者目線ではなく、利用者目線に立った慎重な機能設計が求められることが示唆される結果となった。 地域通貨は、地域経済活性化を目的として自治体や金融機関が主導で導入するものと、何らかの同一の目的を有する比較的つながりの強いコミュニティで導入されるものに大別されるが、今回実証実験を行ったデジタル地域通貨は、その中間的な位置付けであり、商店街利用者という既存の緩やかなコミュニティ上に導入したことに特色がある。 今回の実証実験の結果は、すでに存在する緩やかなコミュニティ上に導入することで、コミュニティへの愛着がデジタル地域通貨に反映され、更にデジタル地域通貨がコミュニティへの愛着を促進する可能性を示している。
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