研究課題/領域番号 |
19K12505
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
相沢 伸広 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (10432080)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 東南アジア / 出入国管理 / 人の移動 / 国際政治 / インドネシア / タイ / オーストラリア |
研究実績の概要 |
2020年度はコロナ禍の影響を受け、当初の計画にあったタイ、インドネシア、オーストラリアへの渡航、実地調査をやむを得ず中止せざるを得ない結果となった。したがって現地での関係者への聞き取り等の調査研究が限定される状況に適応するため、当初の研究内容の対象を米国におけるヴィザ政策に修正の上、パンデミック時および大統領選挙時における米国のヴィザ政策の戦略的な政治活用について体系的に調査、データ収集を実施した。とりわけH-1Bヴィザ、H-2Aヴィザと呼ばれる就労ヴィザをめぐる政治的駆け引きについて、米国の外国人就労に関わる法律事務所や国務省、国土安全保障省のインタビューを重ね、調査、データ収集を行った。ここでは世界的な人材流通の活発化に寄与しているエンジニアと農業の二つの分野について集中的に調査した。米国での調査を追加するとともに、パンデミックおよび政治的な変化に対応するため、アジア各国がどのような修正を行なっているかについて、限定条件を考慮しつつオンラインでのインタビュー等を実施し、タイ、インドネシア、そしてオーストラリアを中心にデータ収集を行なった。 本年度はその成果の一部について、『脅威かヒーローか?-コロナ禍と米国の外国人労働者』(2020年8月28日)https://www.spf.org/jpus-j/views-from-inside-america/20200828.html,『H-1B ヴィザをめぐる米国政治』(2020年12月11日)https://www.spf.org/jpus-j/views-from-inside-america/20201211.html, に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度は当初の計画であった中心的なインドネシア、タイ調査を実施する年であった。しかしながら、コロナ禍の影響で、現地調査が叶わなくなり、想定した調査が行えない状況が年度を通じて続いているため、当初の計画に比して進捗状況としては遅れていることとなった。 ただ、コロナ禍は本研究にとっては、パンデミック時に各国がどのような人の移動をめぐる管理体制を敷くかについて、大変有用なデータを提供しているため、現在はテーマを修正の上、調査、データ収集、執筆活動を行なっている。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍による実地調査の断念は本研究の当初計画を大幅に変更せざるを得ない状況になってしまったが、パンデミック時に各国がどのような人の移動をめぐる管理体制を敷くかについて、大変有用なデータを提供している。したがって、、今後はこうした状況変化に合わせてテーマを修正の上、コロナ禍における調査、データ収集、執筆活動を行なっている。とりわけ、データ収集については、現地調査に代替して現地協力者とともに、より多くの研究補助者を雇用し情報収集体制を整え、オンラインにて会議、インタビューを実施することで実行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響により、当初計画していた実地調査が実施できず、また在外研究中の米国からの渡航も制限されたため当初計上していた調査費の使用額がそのまま次年度に繰り越されることとなった。コロナ禍の収束と調査再開のための渡航が可能になる状況を待ちつつ、現時点では現地協力者と研究補助員を雇用した上で調査を実施し、人件費、謝金に中心的にその予算を充てる。
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