研究課題/領域番号 |
19K12505
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
相沢 伸広 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (10432080)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 移民政策 / 出入国管理 / 東南アジア / デジタル化 / 経済成長 / ナショナリズム / 国家建設 / 国際秩序 |
研究実績の概要 |
2021年度はヴィザ政策にかかるポリティクスを紐解くための現地調査が引き続き制限されていたため、過去の歴史を紐解き、アジアにおける経済統合の中で、多くの人の移動が生じる結果、どのような新たなポリティクスが生まれたのかについての政治分析を実施した。その成果として挙げられるのがタイにおける海外投資誘致政策及び外国人政策の結果生じた日本企業、及び日本人社会の影響力拡大がタイの政策、及び、日本の外交政策に与えた影響を分析した以下の論文である。 Nobuhiro Aizawa, ”The Japanese Business Community as a Diplomatic Asset and the 2014 Thai Coup d’etat in John D Ciorciari and Kiyoteru Tsutsui eds. The Courteous Power: Japan and Southeast Asia in the Indo-Pacific Era,(University of Michigan Press, 2021), pp172-196. 続いて、出入国管理政策の新たな政策目的として、いわゆる「投資誘致」に「人材育成」が加わることで生じる国際的な協調、新たな政策課題について、その歴史的な変遷と各国の政治条件を分析しつつインドネシア、ラオスについて以下に書籍において執筆し発表した。相澤伸広「インドネシアの西太平洋連合構想」北岡伸一編『西太平洋連合のすすめ:日本の新しい地政学」(東洋経済新報社、2021年10月)48-78頁。ケオラ・スックニラン、相澤伸広「脱内陸国の地政学-ラオスの西太平洋連合構想」北岡伸一編『西太平洋連合のすすめ:日本の新しい地政学」(東洋経済新報社、2021年10月)259-291頁。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍の影響により本来の研究計画にあった海外調査が厳しくなったことが挙げられる。こうした状況変化に対応するべく、目下調査計画の大きな変更を余儀なくされた。当初2020年で収束するかに思われたパンデミック状況もオミクロン株の世界的な広がり、国内での広がりにより、状況回復が想定以上に遅れ、国内出張、また聞き取り調査についても、2021年度を通じて、様々な制約が継続した。その結果、本課題実施期間の延長を申請した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画で想定されていなかったコロナウイルスの広がりによって生じた各国の出入国管理政策を外部要因化するのではなく、研究射程内に入れ、平時のヴィザ政策をめぐるポリティクスと、パンデミック危機対応時における各国のヴィザ政策をめぐるポリティクスの比較に修正を行う。また、本年も現地調査に様々な制限がかかることが想定される以上、オンラインを通じたインタビュー調査を本格化させ研究と成果の取りまとめを行う。調査については調査先各地における研究補助員の雇用を大きく増やし、またリモート研究会での発表についても予定以上に実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスの世界的な拡散に伴い渡航制限がかかり、当初計画をしていた現地調査等の実施ができなかった。従って次年度使用額として生じた分は翌年度の現地の研究補助員費等謝金に充てることで、渡航制限下でできる情報収集費、及び、成果発表にかかる研究会費用に用いる。
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