研究実績の概要 |
最終年度はタイにおける調査を通じてクーデタ、コロナ禍、隣国ミャンマー内戦という大きな政治経済社会変動期において、ヴィザ政策を通じて、いかにして出入国政策を管理したのかの包括的な情報収集と分析を実施した。そこでは移民政策が安全保障政策の一環から、経済政策の一環にと変化している様子が明らかとなった。 一方、労働人口の多いインドネシアにおいて、外国人労働力の受け入れは極めてセンシティヴな問題であり、この複雑な多民族国家を統括管理する大統領からの視点について、聞き取り調査を実施し、アジアにおける人の移動の最大の送り出し国である、中国との関係について、政策、イデオロギー双方の面から、どのような原理原則をデザインし、ガバナンスを実施したのか調査を行った。 その成果の一部は、Standing Firm for Indonesia's Democracy: An Oral History of President Susilo Bambang Yudhoyono, World Scientific Publishing Company として、2024年2月に共編で出版した。また、研究期間全体を通じて明らかになったこととして、経済のデジタル化が要請する人材争奪のロジックが、タイ、インドネシア、オーストラリアをはじめ、アジア全体で強化されており、出入国管理が規制の原則からインセンティヴの原則にシフトしつつあることを明らかにし、その一部についてBringing the Young and the Tech into Indonesia's Digital Education Politics and the Geopolitical Impactと題して、国際学術ジャーナルAsia-Pacific Review誌にて 2023年に発表した。
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