研究課題/領域番号 |
19K12513
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
牛田 千鶴 南山大学, 外国語学部, 教授 (40319413)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | パラグアイ / バイリンガル教育 / グァラニー語 / 国民アイデンティティ / 初等教育 |
研究実績の概要 |
世界的なコロナ禍の影響により、2020年度もパラグアイへ渡航し現地調査を実現することはできなかった。一次資料の収集については計画通りに進んでいるとは言い難い状況ではあるが、文献調査を中心に研究を進め、12月に学会発表を行うとともに、年度末までに共著1冊・論文1篇を刊行した。その詳細は以下の通りである。 【学会発表】「パラグアイにおける国家戦略としての基礎教育改革」(ラテンアメリカ学会中部日本研究部会,2020/12/20) 【共著】『ラテンアメリカー地球規模課題の実践ー』(新評論, 2021/02/20, 担当:第6章「教育の拡充と平等化を目指す就学支援の取り組み―格差是正と質保証へ向けて―」, pp.151-172) 【論文】「国際標準の学力と質的向上をめざすパラグアイの教育改革」(『アカデミア』社会科学編第20号,南山学会,pp.1-12, 2021/01/30)
学会発表では、「教育改革の年」と位置付けられた1994年以降、基礎教育の完全普及を柱とする世界規模での教育達成目標や教育協力の潮流の下で展開されてきたパラグアイの教育改革について、評価の一指標としてラテンアメリカ地域で実施されてきた独自の学力調査結果に注目し、同国小学生の学習到達度が基礎的な段階に留まっていることを確認した。そのうえで、教育基本法(1998年制定)をはじめとする法的整備状況、ならびに「戦略的教育改革計画 “パラグアイ2020”」(1996年施行/2008年改訂)や「国家教育計画2024」(2009年策定)、「国家開発計画“パラグアイ2030”」(2014年策定)等の特色にも触れつつ、パラグアイの教育改革政策の実効性や主要課題について考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究の遅れに係る最大の要因は、コロナ禍の影響により現地調査が滞っていることにある。 当初の研究計画においては、8月にパラグアイを訪問し、教育科学省の教育開発局や先住民教育局等のバイリンガル教育関連部署、国立アスンシオン大学ならびにパラグアイ・カトリック大学の各教育学部、異文化間二言語教育の研究・実践に取り組むイベロアメリカ機構のパラグアイ事務所等で聞き取り調査を実施し、いくつかのバイリンガル教育実践校の視察も行う予定であった。しかしながら、コロナ禍の影響によりそうした現地調査を実現することは叶わず、文献調査やインターネット上での情報収集を中心とする研究遂行に留まった。 とはいえ、上記「研究実績の概要」欄にも記載した通り、文献調査に基づく学会発表や共著1冊・論文1篇の刊行は計画通りに進めることができた。海外の学会での発表には至れていないが、現地調査が実現できた暁には、その成果を基に是非、米国ラテンアメリカ学会(LASA)で報告したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
可能であれば2021年度こそは是非、現地調査を実現したいと考えている。仮にそれが引き続き困難となった場合には、在パラグアイ日本大使館を通じてしかるべき機関の専門家を紹介していただき、オンラインでの聞き取り調査を試みたいと考えている。現地調査を実現できない中にあっては、一次資料等の収集にも困難を伴うこととなるが、研究成果を論文にまとめ、査読付き学会誌に投稿することを計画している。尚、2021年度は本研究課題に与えられた研究期間の3年目(最終年度)となるが、コロナ禍の状況に好転の兆しが見られなければ、年度末には1年間の研究期間延長を申請する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
パラグアイでの現地調査を計画通りに実施できなかったことが、次年度使用額の生じた最大の要因である。コロナ禍の影響や外務省の海外安全情報を確認しつつ、日本およびパラグアイ双方で出国・入国が許される状況になっていれば、今年度8月および3月になんとか現地調査を実施したいと考えているため、渡航が実現できることとなれば、そのための旅費として使用する予定である。
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