研究課題/領域番号 |
19K12513
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
牛田 千鶴 南山大学, 外国語学部, 教授 (40319413)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | パラグアイ / バイリンガル教育 / グァラニー語 / 国民アイデンティティ / 初等教育 |
研究実績の概要 |
コロナ禍の影響により、2021年度も引き続き、パラグアイでの現地調査を実施することはできなかった。2019年度・2020年度を通じ、パラグアイの初等教育の現況ならびに1994年の教育改革以降の法的整備状況や教育政策の実効性等に関し、文献調査を中心に研究を進め、学会・研究会での報告2回、共著1冊、論文1編等を通じ、研究成果を公表してきた。パラグアイでは、初等教育課程の全児童を対象にスペイン語とグァラニー語の授業を行う「バイリンガル教育計画」が1994年に開始され、国家の教育改革の大きな柱に据えられてきた。また、二言語併用全国委員会が1996年に発表した「パラグアイ2020」においては、2020年までに15歳から50歳までの全国民が、読み書きをはじめ2言語を自在に使いこなせるようになっていることが目標として掲げられた。2021年度は本来であれば、本研究課題の最終年度であり、1994年から四半世紀を経て、2020年の節目の年にどれほどの成果を達成することができたのかを明らかにする計画であった。しかしながら、パラグアイ教育科学省自体がコロナ禍によって調査を阻まれ、公的レベルでの報告書や統計資料等も公開されていないような状況が続いている。本研究課題の最終年度の計画を遂行するにはそうした資料の入手が必須であるため、引き続き他の研究者らがまとめた二次資料の収集・読解を進めながらも、新たな研究成果として学会発表や論文という形で公表する段階には至れず、研究期間の延長を申請せざるを得なかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
3年間の研究遂行計画の最終年度にあたっていた2021年度においては、本来であれば、2020年が目標達成年とされていたパラグアイのバイリンガル教育計画の成果を分析し、研究成果としてまとめる計画であった。しかしながらコロナ禍の影響により、パラグアイ政府やパラグアイ教育科学省ですら、公的調査や報告を行なえていないのが実情である。コロナ禍の影響により、3年間を通じ1度も現地調査を実施できていないことに加え、パラグアイ側の公的調査・報告の遅れも生じており、最終段階の研究成果をまとめるには至れなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は8月に所属学科の「海外フィールドワーク」プログラムにより、学生たちの引率者としてメキシコへ出張する予定であるが、その業務終了後に数日間だけでもパラグアイでの現地調査を実施できればと考えている。その一方で、可能な限りオンラインでのインタビューを行い、2020年に計画目標達成年を迎えたバイリンガル教育計画に関し、政府・教育科学省による調査報告文書や統計資料等が2022年度においても尚公開されるに至らなくとも、同計画の現段階での成果について、分析・評価できるよう努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響により、現地調査が実施できなかったうえに、最終的な研究成果をまとめるのに不可欠な公的資料―2020年をバイリンガル教育計画達成目標年としていたパラグアイ政府・教育科学省による報告書・統計資料等―が依然として公開されていない状況にあって、新たな研究成果として学会発表や論文のかたちで公表する段階には至れなかったため、1年間の研究期間延長を申請した。次年度使用額については、3年間一度も実施できなかった現地調査のための渡航費・謝金をはじめとする諸費用に充当させていただきたいと考えている。
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