研究課題/領域番号 |
19K12515
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
坂下 史子 立命館大学, 文学部, 教授 (10594129)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アメリカ黒人 / 人種 / 暴力 / 公的記憶 |
研究実績の概要 |
研究テーマに基づき、2020年度も引き続き関連文献の収集およびレビューを行い、アメリカにおけるリンチおよび人種暴力の記憶に関する既存研究を整理することに努めた。また、主に一般向けに研究成果を発信した。 本研究では複数年にわたり、アメリカにおいてリンチの歴史がどのように記憶されてきたかを、近年の博物館展示や地域レベルでの記憶化の取り組みなど様々なレベルから包括的に検討することを目指しており、具体的事例として、①ワシントンDC 国立アフリカ系アメリカ人歴史文化博物館の展示(2016年秋開館)、②アラバマ州モンゴメリー市「平和と正義のための国立記念碑」(2018年春完成)、③ジョージア州 1946年のリンチ事件「再演」行事(2005年より毎年7月開催)、の3つを取り上げることにしている。 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の拡大により海外への渡航が不可能となったため、上記の事例研究を進めるために必須となる視察を行うことができず、新たな知見を得るには至らなかった。他方、2020年5月末よりアメリカでBlack Lives Matter(BLM)運動が起きたことにより、日本でもこの運動に関する社会の関心が高まった。そこで、2020年度はこの運動に関する知見を本研究テーマとも関連づけながら一般向けに発信することに尽力した。また年度末には、これまでに収集済みの関連文献のレビューに基づいて、リンチ研究およびリンチの歴史認識の変遷について考察した時評「アメリカにおけるリンチをめぐる歴史認識の変遷」(『歴史学研究』2021年7月号に掲載予定)をまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
「研究実績の概要」でも述べた通り、コロナ禍で海外渡航が不可能となり、事例研究①②③を進めるための視察を行うことができなかったことが、進捗状況に遅れが生じた最大の理由である。この間新たに発表された文献を追加収集したり、すでに収集した一次資料の分析を継続するなどして、研究を進めていくことに努めたものの、当初の予定通りには進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度も引き続き、研究テーマに基づいたリサーチを進める予定ではあるが、未実施となっている①~③の海外調査を実行できるかどうかは、今次のパンデミックの収束状況次第となる。これらの視察が進まなければ当該研究課題自体の遂行が困難になるため、場合によってはオンラインを用いたインタビュー等に切り替えるなどして対応したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた海外調査が中止になったため、次年度に繰り越して使用する計画である。
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