| 研究課題/領域番号 |
19K12518
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| 研究機関 | 天理大学 |
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研究代表者 |
服部 志帆 天理大学, 国際学部, 准教授 (50512232)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| キーワード | 伝統的狩猟 / 獣害対策 / ジビエ / 狩猟活動の変容 / 猟師 / 世界遺産 / 文化保全 / 屋久島 |
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| 研究実績の概要 |
本研究は、生態人類学や民俗学のアプローチを用いて、屋久島において世界自然遺産でもある自然環境の保全と狩猟文化の維持・継続を両立することを目的としている。この目的を以下の４つのアプローチから達成する。①屋久島における狩猟活動の変遷を、島内外の野生動物に対する需要、開発政策、世界自然遺産、環境政策、ジビエブームとの関わりのなかで明らかにする。②近年、猟友会のなかでみられるようになったコンフリクトに着目し、要因と解決策を検討する。③猟友会の若い世代が開始したジビエ販売や屋久犬の育成などの新しい動きに着目し、狩猟文化の継続を可能にする条件を検討する。④これらをもとに、森林政策やジビエブームと併存しながら、屋久島の人々が狩猟文化と世界自然遺産をともに維持できるような方策の検討を行う。①については、屋久島における開発や保全に関する資料と猟師たちの語りを分析し、環境政策と地域経済の影響によって猟師の狩猟活動が変容してきたことが明らかとなった。②については、猟師や獣肉店への聞き取りから、獣肉売買をめぐり猟師たちのなかで人間関係の悪化が見られるようになったことがわかった。③については、獣肉店が新型コロナで観光客が激減し存続の危機に瀕していることや、ソーシャルメディアを使えるかどうかがジビエ産業の維持において重要であることが明らかとなった。新しい動きとして、猿害対策に伝統的な箱罠を利用する動きが尾之間地区で見られるようになった。④については、①～③の結果をふまえて検討中であるが、ジビエ産業において島外の需要を取り込むことや伝統的猟法の活用において住民の主体性の育成が、本研究の目的を達成するうえで重要であることが指摘できる。これらの成果は、部分的に屋久島学ソサエティ、霊長類学会、生態人類学会の学術大会で発表した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は以下の４つのアプローチによって実施している。①屋久島における狩猟活動の変遷を、島内外の野生動物に対する需要、開発政策、世界自然遺産、環境政策、ジビエブームとの関わりのなかで明らかにする。②近年、猟友会のなかでみられるようになったコンフリクトに着目し、要因と解決策を検討する。③猟友会の若い世代が開始したジビエ販売や屋久犬の育成などの新しい動きに着目し、狩猟文化の継続を可能にする条件を検討する。④これらをもとに、森林政策やジビエブームと併存しながら、屋久島の人々が狩猟文化と世界自然遺産をともに維持できるような方策の検討を行う。①については、屋久島における開発や保全に関する関係資料を収集しつつ、高齢のハンターを対象に聞き取りを行い、環境および開発政策によって変容する狩猟活動を検討した。②については、獣肉店と猟師から聞き取りを行い、狩猟コミュニティにおける人間関係の変化を検討し、問題点を明らかにした。③については、コロナ禍における獣肉店による獣肉ビジネスの展開を追うとともに、猿害対策において新たにみられるような伝統的狩猟の活用を促進している。これらによって、森林政策やジビエブームと併存しながら、屋久島の人々が狩猟文化と世界自然遺産をともに維持できるような方策の検討を行うための情報が集まりつつあると考えている。
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| 今後の研究の推進方策 |
本研究は以下の４つのアプローチによって実施している。①屋久島における狩猟活動の変遷を、島内外の野生動物に対する需要、開発政策、世界自然遺産、環境政策、ジビエブームとの関わりのなかで明らかにする。②近年、猟友会のなかでみられるようになったコンフリクトに着目し、要因と解決策を検討する。③猟友会の若い世代が開始したジビエ販売や屋久犬の育成などの新しい動きに着目し、狩猟文化の継続を可能にする条件を検討する。④これらをもとに、森林政策やジビエブームと併存しながら、屋久島の人々が狩猟文化と世界自然遺産をともに維持できるような方策の検討を行う。①については、狩猟活動だけなく野生動物を食料や薬、販売品として利用してきた実態について高齢者から聞き取りを行いたい。②については、現在の動向について聞き取りを行いたい。③についても現在の動向を聞き取る予定であるが、とくに昨年度から新たにみられるようになった伝統的狩猟方法である「ローヤワナ（牢屋罠）」の活用に注目して情報を収集したい。住民によると、今年度の8月に尾之間地区で試作品を作ることになっている。このような動きを記録するとともに、これまでの成果を生かして、試作品の作成に協力する予定である。このような場は、伝統的な狩猟法の保全として意味があるだけでなく、島内の住民にとって屋久島における野生動物と人間の関わりの歴史を知る貴重な機会ともなるので、研究者として可能な限り支援する予定である。④については、これまでの成果をまとめて学会発表・論文投稿する予定である。
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