本研究では、屋久島における狩猟活動の変遷を、島内外の野生動物に対する需要、開発政策、世界自然遺産、環境政策、ジビエブームとの関わりのなかで明らかにし、屋久島の人々が狩猟文化と世界遺産をともに維持できるような方策の検討を行った。屋久島では、1920~1960年ごろにかけて島外からの経済的需要を受けて「伝統的狩猟」が活発に行われていた。その後、伐採地の拡大がおこなわれたあと環境政策と野生動物保護が活発化したことによって、野生動物が増加した。食害が大きくなり狩猟の生態系保全機能が重要視されるなか、文化的社会的価値の理解が必要であることを狩猟活動の変遷から指摘した。
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