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2023 年度 実施状況報告書

チリの輸出一次産品産業における垂直統合の形成

研究課題

研究課題/領域番号 19K12520
研究機関独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所

研究代表者

北野 浩一  独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター, 主任調査研究員 (00450479)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2025-03-31
キーワードチリ / 一次産品産業 / 産業組織 / 垂直統合 / 輸出農産品
研究実績の概要

本研究では、チリの垂直統合型の一次産品産業の発展を探るため、現地生産地域での実証的なデータ収集が必要である。今年度は、渡航制限が終了したため、3月に首都のサンティアゴ、および農業、林産業の拠点である中南部のコンセプシオンを訪問した。
輸出型農業については、主な輸出市場である先進国生鮮食品市場、および競合する南半球の生産国の生産動向に強い影響を受ける。かつて、主力輸出品であったテーブル・グレープの産地は縮小し、これに替わってチェリーやナッツ類の生産が急速に伸びている。隣国ペルーの輸出競争力向上によりチリ産市場が縮小傾向にある一方で、チェリーは中国向け輸出の拡大が顕著であり、作付面積も拡がっている。ナッツの生産はイタリア系企業を中心に開始され、比較的大規模生産者が多く効率的な管理がなされている。ドローンの導入などアグリテックについては、チリは農家と農業資材企業をつなぐ問屋制度が古くて融資中心のため、新しい技術の導入にあまり熱心でない傾向があることがわかった。
林業については、コンセプシオンはラジアタ松植林拡大の中心地ともいえる。もともとペルーなどへの農産品輸出のための木造帆船建造の拠点であり、その原材料として植林がすすめられている。その後20世紀に入り木造船から鋼鉄製の蒸気船が主流になるに従い造船業が廃れ、これに替わる木材を利用する産業として、国の資金とフランス企業からの技術導入でパルプ生産工場が建設された。1960年代のチリの輸入代替工業化の事例として興味深い。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまで、農牧業センサスなどデータを利用して、チリ農業に関する農地や産品のデータベースを作成してきた。センサスについては、チリ側の国内状況の混乱もあり作成が遅れていたが、2022年度にマイクロ・データ(個票)の利用が可能になった。それ以前の2センサスについては既にデータベース化ができているので、これらと併せ時系列的な分析が可能になる。
2023年に実施した現地調査では、これら量的データを補強する情報が得られた。データ上の生産動向の変化を、現地でのヒアリングにより現場生産者の経営戦略の変化として跡付けることが可能となった。

今後の研究の推進方策

2024年度は、本研究課題の最終年度にあたる。農業センサスなどから得られた農地や生産情報と、生産者の経営戦略変化を中心に、データをまとめて最終論稿を作成する予定である。

次年度使用額が生じた理由

コロナ感染症による特別措置により本研究課題は2024年度まで研究期間の延長が決まり、それに併せて一部の研究費支出計画も翌年度に繰り延べたため。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] チリの「国家リチウム戦略」に見る新しい産業政策2024

    • 著者名/発表者名
      北野 浩一
    • 雑誌名

      ラテンアメリカ・レポート

      巻: 41 ページ: 42~58

    • DOI

      10.24765/latinamericareport.41.1_42

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [図書] ラテンアメリカ経済入門2024

    • 著者名/発表者名
      清水達也(編)
    • 総ページ数
      266
    • 出版者
      日本貿易振興機構アジア経済研究所
    • ISBN
      4258046590

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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