研究課題/領域番号 |
19K12521
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
上野 稔弘 東北大学, 東北アジア研究センター, 准教授 (10333907)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 中国近現代史 / 民族問題 / 呉忠信 / 蒙藏委員会 / 中国 / 民族政策 / 辺疆地域 |
研究成果の概要 |
本研究課題では1930・40年代中国の辺疆民族政策で中心的役割を果たした呉忠信の辺疆民族問題に対する取り組みを分析すべく、近年全面公開された彼の日記の解読を進めた。史料収集の上でコロナ禍の影響は少なくなかったが、日記の活字版が刊行されたことで問題をある程度克服することができた。日記の解読と並行して『蒋介石日記』や中華民国期の行政文書等の関連資料との比較検証を行い、既存資料からは断片的にしか把握できなかった対日戦争期中国の辺疆民族政策について、呉忠信の立場に基づく問題意識と状況認識を通じて系統的に把握することが可能となり、近現代中国の民族問題について新たな研究視角を提示することができた。
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自由記述の分野 |
中国近現代史
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では呉忠信日記の解読を通じて、その資料的価値が極めて高いことを確認した。特に辺疆民族問題に関しては重要な情報が備忘録的に収録されており、既知の史料の補完や背景理解を大いに促進するものであった。他方で日記は辺疆政策部門の強化を目指した呉忠信が、対日戦争中のチベットや新疆での独立運動激化に直面し、外交・軍事と不可分な辺疆民族問題の現状に幾度も挫折感を味わい苦悩する様子を克明に記している。こうした当時の状況を理解することは、現在の中国共産党による民族政策が国外からの影響力排除と強力な軍事・警察力を背景として実施されている歴史的背景を理解するという面からも意義を持つものである。
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