研究課題/領域番号 |
19K12528
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
曽我 亘由 愛媛大学, 社会共創学部, 教授 (50346657)
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研究分担者 |
浅井 亮子 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (40461743)
園田 雅江 愛媛大学, 社会共創学部, 准教授 (50782679)
折戸 洋子 愛媛大学, 社会共創学部, 准教授 (70409423)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 女性のキャリア意識 / 女性の就業感 / 昇進意欲 / 嫉妬 |
研究実績の概要 |
日本における女性のキャリア支援に関する学術研究は、都市部を想定したケースが多く、地方における就業・社会環境が、都市部と異なるという点については研究が少ない現状がある。すなわち、地域の雇用・就業環境や男女の役割期待が、地方女性の就業観やキャリア形成に対する意識に影響を与えていることが考えられ、それらは都市部と地方都市では大きく異なることが推測される。 一方、女性が働き続けることが当然とされるスウェーデンにおいても、ストックホルムに代表される都市部と人口や職場の少ない地方部の女性の働き方や意識の差異は大きく、女性のキャリア支援政策のロールモデルとして日本において注目されながらも、その地方部の女性の就業感やキャリア意識について、日本人研究者の視点から考察されてこなかった。 したがって、本研究は、女性の就業感やキャリア意識について、日本国内の都市部と地方部の差異を調査し、それをふまえて、日本とスウェーデンの地域比較研究を行うことを目的としている。本年度は、都市部と地方部に住む女性のキャリア意識および女性を取り巻く労働環境や社会環境に焦点を当て、国内における比較地域研究を行った。 まず、女性のキャリア形成における嫉妬の影響について、東京在住の金融系組織に勤務する女性にインタビュー調査を実施し、女性が指導的立場に就いた場合に起こると予想される周囲からの嫉妬について、対象者自身のキャリアの変遷や、その時の思いや状況をストーリーテリングによって、定性的に捉えた。 さらに、これらのインタビュー調査と並行し、愛媛県と東京部の金融系組織に勤務する女性を対象に、キャリア意識に関する定量調査を実施し、とりわけ、昇進の際に重視する属性を5つ(嫉妬、残業時間、仕事のやりがい、いっしょに働く人、給与)設定し、これらの属性間の選好をコンジョイント分析によって分析し、地方と都市部の選好の差異を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度においては、前年度からの研究をスムーズに継続できた。インタビュー調査による定性分析では、調査対象者の協力によって、管理職の立場にいる女性、これから管理職を目指す女性の就業意識や就業中の嫉妬について、どのように捉え、対処しているかを詳細に聞き取ることができた。 また、アンケート調査による定量調査では、愛媛県と都市部に勤務する女性324名(愛媛194名、都市部130名)から回答が得られ、昇進の際に重視する属性をコンジョイント分析によって明らかにし、より競争的環境に置かれている都市部の女性と地方部の女性では、嫉妬や給与といった属性に差異があることを明らかにすることができた。以上の点から、本年度の研究の進捗状況は概ね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の定性調査においては、調査対象者の職場に男性が多いことから、性別による差異よりも回答者の経歴や職場環境の影響を受ける可能性があるため、女性多数の職場においても同様の傾向が見られるか調査する必要があるため、次年度に引き続き調査を継続する。 定量調査については、本年度の調査を継続的に次年度に実施し、同時に国際比較調査を実施する予定であり、そのための準備を進めているところであるが、特殊要因(新型コロナウイルスによる制約)によって、現時点で調査実施の目処が立っていない状況である。調査票のブラッシュアップを行いながら、時節をみて調査を実施したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度購入予定であったノートパソコンおよび分析ソフトについては、調査日程の前倒しを行ったため、急遽、使用中のパソコンとソフトで対応した。次年度以降は調査票が複数年に及ぶことから、使用中のソフトでは対応できないため、本年度購入予定だった物品に当てる。 また、本年度については、新型コロナウイルスの影響で3月に予定していた出張を取りやめたため、その分、次年度使用額が生じた。今後の出張については、時節をみて行う予定である。
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