研究課題/領域番号 |
19K12534
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研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
八塚 春名 津田塾大学, 学芸学部, 講師 (40596441)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 野生植物 / 半栽培植物 / 植物の利用と消費 / 食用植物の流通 / サバンナ地帯 / 市場 / タンザニア |
研究実績の概要 |
本研究は、アフリカのサバンナ地帯の市場において小規模に販売される野生/半栽培植物に着目し、その採集、流通、消費をめぐる一連の流れを明らかにすることによって、植物を核にインフォーマルに構築され得る人びとのネットワークと、植物利用の伝播や歴史的展開を描き出すことを目指している。そうすることで、統計資料に挙がらないような植物利用がローカルな文脈で非常に重要であることを示し、アフリカの食糧問題や農業支援を議論する際に、野生/半栽培植物の積極的利用を提案したい。本年度は研究の1年目として以下の研究内容を遂行した。 タンザニアの複数地域の市場、およびその周辺地域において、半栽培植物の利用と販売に関する現地調査を実施した。隣接する地域であっても、利用される植物には差異があること、多くの場合、市場における販売者(a)、仲買人(b)、植物の採集者(c)と、少なくとも3層のアクターが存在していることなど、基礎的な情報を収集することができた。また、来年度以降の現地調査の基盤をつくることもできた。 さらにアフリカの事例と比較するために、野生植物の利用と流通について日本国内においても調査を実施した。そして、共通の関心をもつ研究者らと意見交換をおこなうことによって、アフリカという一地域に限らない、本研究の展開の可能性を探ることができた。 現在、これらの成果を学会発表の形で報告できるよう分析を進めるとともに、投稿論文を執筆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は計画していたとおりの充実した現地調査を実施することができたため、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度に現地で調査の基盤をつくることができたため、2020年度以降は順調に現地調査を進めていくことができると考えている。ただし、新型コロナウィルスの展開によっては、現地調査の時期や方法を再考する必要が生じる可能性はある。 また、参加を予定していた国際学会が延期になるなど、研究成果の公表についても多少の影響を受けてはいるが、学会誌への論文の投稿など、できる形での成果報告を進めていくつもりでいる。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、新型コロナウィルスの感染拡大の影響を受けて、3月の現地調査の期間を当初の予定より短くしたことと、3月に予定していた学会への参加を見合わせたことによる。 繰り越し金は、以下の二つの方法で使用することを計画している。①2020年度に海外での調査が可能になれば、現地調査費用(旅費)として使う。②アフリカの事例を深く考察するために、日本国内における類似の調査研究を実施したり、関係者らと研究会を実施し議論を重ねたりする機会として使う。
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