本研究は、食用に利用される野生/半栽培植物に着目し、市場を起点に採集や消費の場へと植物を追うことによって、植物をめぐるネットワークと植物利用の変遷を明らかにすることを目的に、タンザニアでフィールドワークを実施した。 栽培化されておらず、地域限定的に利用される食用植物は、都市で販売されるが流通範囲は狭く、販売規模も小さいため、地域住民に大きな経済効果はない。しかし、地域内では強く好まれる重要な食料である。また、これら植物には地域の「こだわり」が存在し、複数都市で販売される植物でも細かな差異が見られた。以上から、ローカルな食用植物は、出所である故郷の農村と都市居住者をつなぐ役目を果たすと考察した。
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