研究課題/領域番号 |
19K12542
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
小田 尚也 立命館大学, 政策科学部, 教授 (30436662)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | インド / 看護師 / 海外労働移動 |
研究実績の概要 |
2019年度は文献レビューおよび過去のデータやフィールドノートのレビュー等、情報の整理を行った。インドのウッタルプラデーシュ州における聞き取り調査(2018年実施)を中心に、民間病院・クリニックの看護師の給与水準の現状と問題点を確認した。 <給与水準の実態> 変動はあるが、新人看護士の給与は1ヶ月あたりRs. 5000-8000(1Rs.=1.5円)程度。看護助手はRs. 3500。経験年数が増えたとしてもあまり給与は増えず、経験3年半の看護師はRs. 8000-9000程度である。給与の高い政府系の公立病院に職を得るには高い学力が求められ、看護学生の一握りしかその機会を得ることができない。最高裁による給与の引き上げ勧告が行われているが依然として低賃金が横行している。 <低賃金の要因> 理由の一つが、海外労働移動である。海外労働移動には最低2年から3年の看護経験を求める国が多く、その経験を得るために国内の病院でいかなる賃金(無給でも)でも働きたいという看護師が多く存在する。また看護学校の奨学金制度も低賃金の理由の一つである。奨学金受給の看護学生は卒業後、系列の病院にてインターンとしての勤務が義務づけられている場合があり、インターン期間中、低賃金もしくは無給で働くケースがある。インドの法律ではこのようなBond制度は禁止されているが実際には依然存在する。さらに2000年以降私立の看護学校が乱立するようになり、看護師の供給の増加と質の低下が発生している可能性も指摘される。これらの要因について現地調査を踏まえ、さらなる分析を加えていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画取りの進展であり、理由は特になし。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度の研究で得られた民間病院勤務看護師の低賃金の要因について現地調査により、より詳細な分析を行う。また海外出稼ぎ中の看護師への聞き取り調査を行い、低賃金の要因、国際労働移動との関係等を分析する。 現在、インドではCovid-19が流行しており、終息の兆しは見えない。よって現地調査の実施が可能でない場合は、2021年度に実施を延期する。一方、海外出稼ぎ中の看護師に関しては、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール等での調査経験を生かし、質問票を中心に実施することとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた現地調査が不要となり、別途2020年度に延期としたため、次年度使用額が発生している。
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