研究課題/領域番号 |
19K12547
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
小野 健吉 和歌山大学, 観光学部, 教授 (40194584)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 庭園 / 日本庭園 / 庭園観光 / ガーデンツーリズム / 大名庭園 |
研究実績の概要 |
本研究は、観光資源として高いポテンシャルを持つ日本の庭園を対象として、現地調査・所有管理者からの聞き取り調査・インターネット情報の調査等の手法により、「個別の庭園が観光資源としてより適切かつ持続的に活用されるための運営手法」を提示するとともに、「庭園観光の適切かつ持続的な在り方についての包括的展望」を示すことを目的としたものである。 令和元年度は、東北地方・北陸地方所在の庭園及び関連文化遺産の現地調査を行い、インターネットの旅行関連サイトでの情報収集については東日本を中心に西日本の一部の庭園についても行った。なお、当年度は第4四半期における新型コロナウィルス感染症の発生のため、関東地方での現地調査を中止した。公開した研究成果は、「兼六園の活用と管理運営の展望」(『観光学』22号、2020)および学会発表「国土交通省ガーデンツーリズム施策と日本における庭園観光の展望」(『日本庭園学会関西大会研究発表要旨集』、2019)である。 令和2年度は、新型コロナウィルス感染症の流行拡大のため、計画していた現地調査のうち、滋賀県・京都府・広島県等の一部を除きほとんどを中止した。旅行関連サイトでの情報収集については、西日本の庭園を中心に行ったほか、全国の史跡名勝庭園については、旅行関連サイトでの投稿数等についてのデータを取りまとめた。公開した研究成果は、「養浩館庭園の運営に関する提言」(『観光学』23号、2020)および「玄宮園の運営に関する提言」(『観光学』24号、2021)である。前者では、技術的庭園管理体制の充実、庭屋一如の特質を活かしたベント、入園料の検討等を提言し、後者では、植栽管理方式の継続、臨池閣の修理・修復と活用、ウェブサイトの充実等に加え広域庭園観光の観点からの他の大名庭園との連携を提言した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和元年度・2年度には、現地調査・所有管理者からの聞き取り調査・インターネット情報の調査等の手法で研究を進め、二か年度で論文3件、学会発表1件、新聞記事(エッセイ)1件を公表した。内容的には、「個別の庭園が観光資源としてより適切かつ持続的に活用されるための運営手法」の提示が中心であるが、公開成果の観点ではおおむね順調な進捗状況である。ただし、計画していた現地調査については、令和元年度第4四半期から令和2年度にかけての新型コロナウィルス感染症の流行拡大により十分におこなえておらず、そうした調査に基づいて進める予定であった調査研究に遅れを生じているのが実情である。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、本研究課題の最終年度であり、以下のとおり研究を推進する。 ・状況が許せば、現地調査・所有管理者からの聞き取り調査を実施したうえ、特定地域でのガーデンツーリズムのコース提案をおこなう。 ・インターネットの旅行関連サイトで収集したデータに基づき、庭園観光の利点や改善点等についての提案をおこなう。 ・令和元年度・2年度の成果や上記の3年度の研究に基づき、「庭園観光の適切かつ持続的な在り方についての包括的展望」を示す。 ・研究の最終的な成果品として報告書を作成・刊行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の流行拡大のため、現地調査のほとんどが計画通り行えず旅費の支出が減少したこと、研究補助者の雇用日数が大幅に制限されて謝金の支出が減少したこと等により、次年度使用額が生じた。 最終年度となる令和3年度においては、計画していた現地調査を状況の許す限り実施するとともに、報告書の刊行とその準備のための予算を執行する。
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