自動車旅行においてユーザに適した情報を提示する技術が望まれている.ユーザのためになる立ち寄り先等の情報を推薦するために,ユーザの個人的情報が必要となる.一般的には多くのユーザの情報をサーバに集約する手法がとられるが,走行履歴には高度にプライベートな情報が含まれるためサーバへの集約は好まれない.そこで,本研究では「ユーザの個人的情報は,ユーザの車載器のみに集約されることを前提として,様々なサービスを行う」という手法の研究開発を行う.助成期間中,(1)個人的な情報の収集,(2)個人的な情報の利用,(3)自然言語インタフェース,という分野の問題に取り組む. 2023年度(最終年度)において,(2)および(3)の解決を進めた.(2)に関しては,自動車走行時に立ち寄り先推薦では,元々の旅行計画を基準としつつ,少々のユーザの要望を受けて,立ち寄り先のエリアを限定する手法を開発した.車内では細かく要請を入力できないので,直接的なエリア指定の無い場合には,立ち寄りのタイミングおよびゆとりという程度の要請でエリア限定を可能とした.実際の旅行記録に沿ってエリア限定を行った結果,96%のシーンで適切であることが確認された. (3)に関しては,車内で地点検索を行う際,ユーザが略称で地点名を発話することや,音声認識結果にはカタカナ漢字表記が正式名と異なることが問題となる.そこで,略称と表記違いに頑健な地点検索の手法を開発した.クエリおよび地点名を音素ラベル列の上で類似検索を行うものである.検索成功率は,略称や表記違い時には86%,オープンテストでは92%であることがそれぞれ確認された.
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