研究課題/領域番号 |
19K12550
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
阿部 昭博 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 教授 (70305291)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 観光情報学 / ミュージアム支援 / 来館者行動分析 / マーケティング / アクションリサーチ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,野外ミュージアムの特質を踏まえたデジタルマーケティング手法の開発とその効果的な適用フレームワークを構築することにある.ここでのマーケティング活動は,単なる広報活動やプロモーション活動のみならず,来訪者との繋がりを育み,継続的・長期的にミュージアムを利用してもらう活動を指す.その実施においては,研究者が現場の活動に関与しながら現場の課題解決に関する知見を得てゆくアクションリサーチの研究アプローチにより,岩手県内の野外ミュージアムを対象とした実践的研究として取り組む.2019年度は,野外ミュージアムの特質を踏まえたデジタルマーケティング手法の一次開発を行った.まず,研究代表者とこれまで見学・周遊支援システムの共同研究・運用実績があり,設置・運営形態の異なる野外ミュージアムとして,平泉世界遺産群(現地保存型)と野外彫刻美術館(復元・建設型)の二つを対象フィールドに選定した.つぎに,起伏に富んだ広大な敷地を有し見学対象が多様である野外ミュージアムに対して,「訪問前の情報収集」と「現地での見学・周遊」場面にタッチポイントを設定し,二つのデジタル技術の適用を試みた.前者においては,問い合わせ対応とプロモーション活動に人工知能を応用した会話型インタフェースの総称であるチャットボットを活用し,蓄積された問い合わせ履歴等のデータをテキストマイニング等の言語的手法によって分析した.後者においては,来館者の見学・周遊支援にリストバンド型のウェアラブルデバイスを用いて,蓄積された移動と身体負荷に関するデータをGIS(地理情報システム)によって時間的・空間的に分析した.これらの取り組みはシステム的に連携させることはできなかったが,それぞれの実践を通じて,実際のマーケティング活動を支援する際の技術的な課題について整理することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
岩手県内の施設運営者や行政の協力が得られたことで,当初計画に沿って,野外ミュージアムの特質を考慮したデジタルマーケティング手法の一次開発を概ね実施することができた.
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今後の研究の推進方策 |
本年度の実施結果を踏まえ,引き続き岩手県内施設等の協力を得ながら,マーケティング手法の二次開発(拡張、改善)に取り組む.また,研究フィールドの追加も見据えて,本年度選定しなかったタイプの野外ミュージアムについても調査を試みる.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大の影響で,年度末に予定していた研究調査が延期となり,学会参加・発表もすべてオンライン対応となったため,旅費等が未使用となった.次年度の調査活動や開発作業の充実に充てる予定である.
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