研究課題/領域番号 |
19K12554
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研究機関 | 江戸川大学 |
研究代表者 |
土屋 薫 江戸川大学, 社会学部, 教授 (60227428)
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研究分担者 |
崎本 武志 江戸川大学, 社会学部, 教授 (00468951)
林 香織 江戸川大学, メディアコミュニケーション学部, 准教授 (50458676)
下嶋 聖 東京農業大学, 地域環境科学部, 准教授 (60439883)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 趣味縁 / 世代交代 / 余暇退屈度(LBS) / コミュニティ・ベースド・ツーリズム / 地域バリューチェーン |
研究実績の概要 |
本研究では、全国のオープンガーデンを対象として、主催者の意識と立地環境の特性について明らかにし、観光基盤のモデルとなり得るかどうか検討する予定であったが、新型コロナウィルスの感染が蔓延した影響で全国現地ヒアリング調査を十全に展開できなかった。そこでその代替措置として、上記のようなコロナ感染の状況下においても稼働していることが確認されているオープンガーデン92カ所の主催者を対象として、郵送による質問紙調査を行った。 その結果、オープンガーデンブーム以前の2001年以前から開催しているオープンガーデンでは、比較的居住歴の短い人へと主催者の世代交代が起きていることがわかった。そしてその運営については、およそ半数のオープンガーデンにおいて、市民がボランティアで、会費を運用しながら運営していることがわかった。またレジャー活動を媒介とする趣味縁は、ポスト消費社会における幸福にとって大きな役割を担うと考えられるが、調査結果からは、趣味縁の拡大深化を望む一方、オープンガーデンの開催を通じて、地元が花や緑にあふれた環境になることを達成目標にする主催者も多く、趣味の延長線上としてだけでなく、オープンガーデンが地域社会にコミットするための一つの手段である可能性が見出された。 その意味では、日本のオープンガーデン活動は趣味縁としての側面だけでなく、ライフスタイルの発露としての側面も併せ持っていると言える。実際にレジャー診断ツールも当事者たちの自己認識と今後の運営方針を定めていく上で、有効性を持ち得ることが確認された。 立地環境については、第一段階として関東エリア34カ所のオープンガーデンについて、庭と地域の主要施設、観光関連施設の位置情報を入力して解析中であるが、現在のところ、地域バリューチェーンを交えたコミュニティ・ベースド・ツーリズムとの親和性が高いことが判明している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
全国のオープンガーデンを対象としたヒアリング調査によるパイロット調査をベースにした分析という点では、コロナ禍で完遂できておらず、網羅的な展開という意味では「遅れている」と言わざるを得ない。ただし、郵送紙調査を実施したことで分析の枠組みを確認することができた。それを受けて次年度は、特徴的なオープンガーデンをサンプリングして検討することで、研究の目的を達成できるところまで全体計画の進捗を取り戻せた。
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今後の研究の推進方策 |
継続的なコロナ禍で研究対象としてのオープンガーデンをめぐる状況も一変してしまったが、逆にオープンガーデン活動の根が浮き彫りとなった。全国のオープンガーデンを対象とした悉皆調査としての位置づけは弱まったが、サンプリング調査としての視点を明確にして、モデル化に向けた研究の目的を達成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で全国のオープンガーデン120カ所あまりを対象とした現地ヒアリング調査が十全に行えなかったため、次年度使用額が生じた。代替措置として、一部のヒアリング調査に基づいた質問紙によるサンプリング調査と、その分析結果を確認するための現地踏査(数は限られるが代表的なオープンガーデンを選んで実施予定)を踏まえてモデル構築を図る形に研究計画を修正したため。
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