2020年からのコロナ禍によって海外でのフィールドワークについて制限があった一方で日本国内においてリモートワークの拡大、ワーケーションで観光産業促進のためワーケーションに注目が高まるなか結果的に多くの地域がワーケーション事業に取り組むようになった。これまで観光地としてあまり活発でなかった地域(長崎県五島市、新潟県糸魚川など)だけではなく従来の観光地(和歌山県白浜など)も新たに地域コミュニティとの交流などを「ワーケーション資源」として開発することでワーケーションの活性化が見られ、関係人口の増加につながった。ワーケーション資源は地域、企業、ワーカー個人の3者それぞれが価値を感じつつ、それがサステナブルに展開できる点が重要になることが示された。海外との比較ではデジタルノマドにとってのコミュニティはデジタルノマド同士を指すことが多いが日本での事例で見られるように地域の住民とのコミュニティ形成も注目されている。こうした要素は日本型ワーケーションとして海外でのデジタルノマドの文脈とは異なる点であり、どのように取り扱うべきかは今後の研究課題である。またデジタルノマドビザなど国家レベルでの動きも活発化しておりモビリティに対する国家、企業の動きが地域に与える影響についても今後着目していく課題である。 本研究の成果は『ワーケーション企画入門』(学芸出版社)、「How the Japanese workcation embraces digital nomadic work style employees」(World Leisure Journal収録)など複数の書籍・論文にまとめられた。英語・日本語での発信、また企業や地域でのワークショップや講演なども実施できたことで社会的インパクトも大きい研究になったと考える。
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