研究課題/領域番号 |
19K12557
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研究機関 | 大正大学 |
研究代表者 |
清水 麻帆 大正大学, 地域構想研究所, 助教 (20464597)
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研究分担者 |
増淵 敏之 法政大学, 政策創造研究科, 教授 (50511292)
岩崎 達也 関東学院大学, 経営学部, 教授 (70756840)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 中国 / コンテンツ産業 / コンテンツツーリズム / コンテンツ支援政策 / コンテンツ市場 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、中国のコンテンツツーリズム(以下コンツー)の現状について的確に把握することにより、日本のコンツーの特徴と異なる点を明らかにし、中国で普及し始めている要因を明らかにすることによって、今後の予測を行うことである。 そのために令和元年度に行った研究実績は、研究計画に沿って以下の2点を重点的に行なったことである。まず、中国のコンツーの現状を把握するため、文献調査や日本の中国人留学生へグループインタビューを行い、中国国内のコンツーの現状についてのヒアリング調査を実施したことが挙げられる。次に、分担研究者との研究会を行い、現地調査対象の1つを中国・上海に決定し、同年度8月に現地調査を実施したことである。 上海のJ E T R Oでのヒアリングでは、上海におけるコンツー及びコンテンツ産業の現状とそれらに関連する政策、そして、その社会経済的背景の実態を把握することができたと同時に、本研究に有用なコンテンツ産業などの関連資料を収集することができた。また、現地の日本動画協会の中国担当者にもヒアリング調査を行い、中国でのコンツーやアニメ市場の現状や動向など有意義な情報を得ることができた。そして、中国国産ドラマの上海にある様々なロケ地を訪問し、その現場の状況や中国人観光客の動向を実際に把握することができた。帰国後、それらの情報を整理し、3ヶ月に一度の研究会にて情報共有と今後の研究計画などを分担研究者とともに確認した。また、引き続き現地の関係者と連絡を取り、常に情報収集と交流を行っている。 したがって、これらの研究活動を通じた令和元年度の研究実績は、中国・上海のコンツーの現状の把握及びそれらに関連する情報・資料収集をすることができたことである。このことは本研究の基礎的根幹部分であり、次年度の中国・杭州への現地調査を行う上でも指標となる基礎的な研究でもある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上海調査において、台風のため急遽、訪問当日に閉館になった上海影視楽園視察を訪問することが一箇所だけできなかったが、研究計画に沿って概ね順調に進んでいる。 その理由は、まず、研究計画の項目通り、ヒアリング及びアンケート調査票設計の準備として日本在住の中国人留学生へのグループインタビューをした上で、中国・上海のJ E T R Oのコンテンツ産業の担当者及び日本動画協会の中国担当者などにヒアリングを実施し、コンテンツ関連産業のデータやその支援政策などの資料や情報を収集できていることが挙げられる。 また、大学や歴史的建築物など中国国産ドラマの様々なロケ地を実際に訪問し、中国人のコンツーに関する観光行動の現状を把握できていることが挙げられる。 そして、分担研究者とも情報共有を常に行い、仮説や研究方法、次年度の研究計画についても検討できている点が挙げられる。こうした理由から、概ね順調に研究は進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、現在コロナ渦中であり、その収束がいつ頃になるのかにもよるが、計画通りに令和2年度中に再度中国・上海及び杭州での現地調査を実施する予定である。上海では台風で訪問できなかった大型ロケ地でもあり観光地でもある上海影視楽園視察を訪問し、杭州でも同様の大型の横店影視城を訪問する予定である。また、杭州では浙江大学と学術交流及び情報交換を行う予定である。 また、ウェブによるアンケート調査に関しても、新型コロナ肺炎ウィルス蔓延による観光行動全体の停滞または停止によるバイアスがかかることを考慮し、コロナ収束後に実施する。そして、これらの現地調査及びアンケート調査の分析・検討を行い、結果をまとめていくこととする。 最終年度は、これらの研究結果から政策提言のための討議を行うと同時に公開シンポジウムを企画、開催していきたいと考えている。そして、研究報告書の作成と書籍出版の準備を行い、本研究を進めていく計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究を進めるにあたり、令和元年度の8月に中国・上海への現地調査を行った際、滞在中に台風が直撃し、当初調査予定であった上海影視楽園が急きょ閉園になってしまい、視察することができなかったため前倒請求をし、令和元年度の2月末に再度現地調査のため中国・上海を訪問する予定であったが、新型コロナ肺炎ウィルスが蔓延し始めたため、急遽中止とした。そのため、前倒し請求した費用から航空代金のキャンセル料金を差し引いた費用が繰越金として発生した。 また、令和元年度8月に実施した現地調査の際に、分担研究者の1名が、やむを得ない事情により直前に出張をキャンセルしたため、その際に使用しなかった旅費が繰越金として発生した。 これらの繰越金については、令和2年度に実施する中国・上海及び杭州への現地調査のためにかかる費用に充てる。
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